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枕草子 第94話 鳥は(5)

清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢    :了解しました。。

郭公は、今さらだけれど、言いようがないほど素敵です。
いつの間にか得意顔で鳴いているのに、卯の花や花橘などの葉陰に宿り、時折は姿を見せ、またすぐに隠れてしまうのは、小憎らしいほどの習性です。
五月雨が降る短い夜などに、一寝入りしてから起きて、どうしても他の人より早く、郭公の初鳴きを聞こうとして、待っていると夜更けになり聞こえてきます。
こちらの思いを察しているような気配りで、また可愛らしい声で、夢中になってどうしようもない。
でも、6月になるとその鳴き声も聞こえなくなります。
ただ、郭公のことは、何も言う必要がないほど、素晴らしい。
夜鳴くものは、なんでも素晴らしい。
乳児の夜泣きは別です。

清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢    :郭公と鶯は、ことのほか、書いておられますが。
清少納言先生:和歌ですと、時鳥、水鶏、鴫、時鳥ですかね。でも、私は私
       の感性で書きたいので、枕草子はそういうものです。

確かに、書きたい対象を書きたいように書く。
この強い個性があったから、今日まで読まれているのだと思う。

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