笠女郎が家持に寄せる歌(11)わがやどの 夕陰草の 白露の
わがやどの 夕陰草の 白露の 消ぬがにもとな 思ほゆるかも
(万葉集巻4-594)
庭の夕陰草の葉にの上の白露のように、今にも消えてしまいそうなほど、どうしようもなく貴方に恋い焦がれているのです。
※夕陰草:物陰に生えている草
笠女郎は、自分自身を家持を物陰から見ているだけ、物陰草のような儚い立場と自覚したのか。
そして、すぐにも消え去ってしまうような白露に、あるいは命がけの恋(恋死に)の意味をかけ、それほどまでに、どうしようもなく貴方に恋い焦がれていると、詠みかける。
届かぬ苦しい恋の名歌と思う。