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枕草子 第173話 頭の中将のすずろなるそら言を聞きて(2)

清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢    :了解しました。

二月の下旬で、雨がずっと降り続き、何もすることがない時に、何人かの女房が、
「斉信様が『清少納言とは話などしないと思っていたのだけど、やはり寂しいなあ、何か話をしたいものだなあ』とおっしゃっています」と、聞いて来るのですが、私としては、「まさか、そういうこともないでしょうよ」と聞き流しておりました。
そんなことで、その日は一日中、局に下がっておりました。
夕暮れ時に中宮様の前に参りますと、中宮様はすでに御寝所でお休みのご様子です。
女房たちは長押の下に灯台を引き寄せ、扁つぎをしています。
女房たちは、私を見つけて
「ああ、早くこちらへ、来てくれてよかった」と言うけれど、
私としては、中宮様がおられるわけでもなく、つまらない。
「どうして出て来てしまったのか」そんなとりとめのない思いである。

清少納言先生:はい、そこまで。
舞夢    :「扁つぎ」というのは?
清少納言先生:漢字を使ったお遊びです。同じ扁の字を次々にあげていく
       の。
舞夢    :暇つぶしというか、そんな感覚ですね。

やはり、清少納言先生にとって、唯一の関心事は中宮様との語らい、この文によく表されている。

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