毒箭を抜かずして、空しく来處を問う 「空海の言葉」
毒箭(どくぜん)を抜かずして、空しく来處を問う
数人の男が、狩りのために、山に登った。
獲物を仕留めるための武器として、弓(毒矢)を持って登った。
狩りの真っ最中、運悪く毒矢が、一人の男に刺さってしまった。
仲間たちは、慌てて
「すぐに、その矢を抜け」
「抜かないと死んでしまう!」
と警告して、実際に抜こうとする者もいた。
しかし、ここで問題が発生した。
毒矢が刺さった男は、狩猟仲間の中でも、一番頑固で理屈にこだわる男であった。
「いや、すぐには抜かない」
「まず、この毒矢が、どこから飛んできたのかを確認しなければならない」
「その次に、毒矢の材質を確認する」
「塗ってあった毒の種類も特定する必要がある」
「それらを、全て確認してから、毒矢を抜くのが、正式な筋道である」
と、言い張るのである。
仲間は、焦った。
「そんなことを言う前に、まず抜け、死んでしまうぞ」
しかし、頑固男は、抜かない。
「いや、正しい筋道を曲げるべきではない」
・・・結局、その頑固男は、毒が回って、死んでしまった。
やはり、「最優先事項」とは、何なのかを、考えなければならない。
特に、緊急時には、下手な理屈は、邪魔になるばかり。
「まずは、自分の身の安全を確保する」
大災害の時に、よく言われる言葉である。
ただ、それは国家でも同じ。
国家の安全が確保できない状態は、出来る限り、「現実に即して」脱する必要があるのは当然。
・・・と思うけれど、「何もしなくても、日本は大丈夫、平和憲法がるから」と言い張る人も、かなり多い。
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