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枕草子 第96話虫は(1)
清少納言先生:今日から虫の話に入ります。
舞夢 :それではよろしくお願いします。訳して見ます。
虫は鈴虫、ひぐらし、蝶、松虫、きりぎりす、機織虫、われから、かげろう、蛍。
蓑虫は、本当に考えさせてくれる。
鬼が生んだ子供なので、その子の蓑虫も恐ろしかろうという性質を持ち、親も粗末な着物を着せ、「もう少ししたら秋風が吹く。その時には必ず帰って来るから、待っていなさい」と言い残し、結局は親が逃げてしまう。
蓑虫は親が逃げていってしまったとは知らず、風の音から秋の訪れを知り、八月頃になると「父よ、父よ」と心細げに鳴く。
それが本当にしみじみとした感じなのです。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :きりぎりすは、草の上を飛び歩く虫の総称だったとか。
清少納言先生:今でいうと、コオロギかもしれませんね。
舞夢 :機織のほうが現在のキリギリスですね、おそらく。
清少納言先生:時代とともに、というかいつの間にか、変わっているのです
ね。
舞夢 :われからとは?
清少納言先生:本当は海藻に寄生する虫の抜け殻です。古今集にね「海人の
刈る藻に住む虫のわれからと音をこそ泣かめ世をば恨めじ」
というのがあって、虫になってしまったようです。
舞夢 :蓑虫の話は、何か特別の思い入れがあるのですか?
清少納言先生:「親ににない鬼子」ということわざもあるんだけどね、子供
を育てきれず、思い余って父が捨ててしまったという伝説が
あります。
ちょうど、定子様入内の時、正暦五年に私も父の元輔をなく
してね、それから書きました。
清少納言先生は、その父元輔には、特別の思いがあったようだ。
キレキレのスーパー文学者だけではない、血が通った人間として、ホッとした。