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きわめて私的な映画記録②

 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ・アデイオス
(ヴィム・ヴェンダース製作総指揮)

 ヴィム・ヴェンダース監督が好きで観た前作「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の続編。もうかなり前のことだが、ようやく鑑賞することができた。(今回の監督はルーシー・ウォーカー)
 前作から18年後、元々ご高齢だったメンバーの皆さまがお元気なのだろうかと思ったらやはり・・・。人気者のイブライム・フェレールが亡くなり、ギターとヴォーカルのコンバイ・セグント、ピアノのルーベン・ゴンザレスが他界。ベースのオルランド・ロペスもすでにこの世を去った。前作で中心的な役割を担っていたライ・クーダーもいなかった。ここで、ある程度予測していたとは言え、少し落胆。
 しかし、在りし日の彼らの姿を通して、キューバの歴史、人々の暮らしと音楽について語られるこの映画は,、やはり魅力的だ。
 キューバでも人種差別が存在し、人々は貧しく苦しい生活の中で歌い踊り、神に祈り・・・生き抜いてきた。苦しさを嘆き、怒りを叫ぶ歌ではなく、軽快なリズムに乗せて人生の機微を歌い上げる。全てを淡々と受け入れて数十年、深いしわ、磨かれた紫檀のような肌。節のゴツゴツした腕や指先が心地よい音の重なりを生み出し、颯爽と歩行できない足腰でもステップは軽やかだ。
  歌姫オマーラは現在88歳。まだまだ元気で歌っていて欲しいし、また新たな映像で会いたいものだ。
 ああ・・記録しながらも脳内に彼らの音楽が鳴り響いている♪

追記・・オバマ前大統領に招かれてホワイトハウスで公演した時の様子を見ることができる。

追記②・・・この作品には直接関係ないが、ヴィム・ヴェンダース監督「ベルリン・天使の詩」の脚本を手掛けたペーター・ハントケがノーベル文学賞を受賞した。とても嬉しい💓
 
 
 
 

 ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(ダニー・ストロング監督)

 サリンジャーの伝記的映画 
  サリンジャーと言えば、若い頃に野崎孝訳「ライ麦畑でつかまえて」(このタイトルは秀逸)を読んで恋に落ちたわたし。その後「ナイン・ストーリーズ」と「フラニーとゾーイー」を読んだ。これについては、読んだという記憶しかなく・・その後はご無沙汰。なにしろ、サリンジャーは寡作なのだ。・・・というか、それ以降発表作品がほとんどなくて、世間から逃れて隠遁生活を送っていたのだ。
 近年村上春樹訳でThe Catcher in the Ryeが「キャッチャー・イン・ザ・ライ」Franny and Zooeyが「フラニーとズーイ」を読み、改めてその魅力に気づいたわたし。
 そんなわけで、この映画のことを知ったときに、早く観たくて待ち遠しかった。
 最初はなかなか才能を認められなかったサリンジャーを、支え育てた編集者の存在。父や母との関係。戦地での壮絶な体験がもとで心を病んだこと。隠遁生活に入ったきっかけ等、サリンジャー個人についてはほとんど知らなかったので、興味深く観た。(とは言え、随分以前に観たので・・細部は記憶に残らずww)


 また、やはりホールデンはサリンジャーの分身だったのだと感じた。それは、野崎訳で読んだときも、村上訳で読んだときもそんな気がしていたから・・。わたしにとってはホールデンとサリンジャーのイメージが勝手に重なっていたのだ。それゆえ、いつもは作者に興味をもって調べるのに、そのまま何も知らずに放置していたのかもしれない。

 社会との表立った接触を断ったきっかけは、理解できないこともない。読者って、まったく勝手な輩だ。もちろんわたしを含めて・・だけれど。
 「わたしの気持ちを代弁してくれているみたいだ。ひょっとしてホールデンはわたしのことかも。」なんて、思いこむ者が多く押しかけたら、神経症になってしまうだろう。それだけ発表当時から今現在まで、ホールデンくんに共感してしまう人が多いということだと思うけれど。

 映画には脚色というものがあるから、事実と全く同じとは言えない(そういう点では冷めた目で鑑賞したかもしれない)しかしサリンジャーという人を理解するのには一つの参考になったと思うし、サリンジャーファンなら一回は鑑賞してもよいと思った。

 しかし・・サリンジャーはもう亡くなってしまったので、この映画について異議を唱えることができない。ちょっと気の毒な気がした。

追記・・・2番めの妻クレア・ダグラスをルーシー・ボイントンが演じていて、なんとなく嬉しかった。


追記②(というより、単なるつぶやき)
 あ~あ、やっと記録し終わった。相変わらず心忙しく、体力もなく・・映画はほぼ観ていない日々(>_<)