かまくらと雪だるま
ある初春の日の事だった。
買い物に出る時、ちょうど家の前を通りかかった赤ちゃん連れの金髪の女性が足をとめて、ニコニコと、何か話しかけてきた。
「Do you know ムニャムニャムニャ?」
ん?そしたら携帯を取り出してモソモソ何かを探し始めた。
今一度彼女がなんて言ってるか耳をすますと、
「igloo!イグルー!」
そう、以前この家の前にあったイグルー(カマクラ)は誰が作ったのか知りませんか?と、いっていた。
「あっ!あれは私が作りました!」(嬉)
ロンドンに大雪が降った時の事だ。
フロントポーチの雪かきついでに’かまくら’を作ろう、ふと、そんな事を思いついたのだ。
パンを焼くための型を使って‘雪のレンガ’をつくっていって キャンドルを入れてみた
まるで’ピングー’に出てくるiglooみたいだ
よし、雪だるまを作ろう
雪だるまのおうち
こさえた雪だるまは、小さくて赤ちゃんみたいだ
よし、おかあさんを作ってあげよう
そして、我が家の玄関先に、雪だるまとそのおうち、小さなイグルー(かまくら)ができあがったのだった
それから、金髪の彼女はこう言った。
彼女の仕事は、チャイルドマインダーで、あの頃毎日、数人の子供たちを連れだって 我が家のイグルーの前を通り過ぎた事、それを彼女と子供達は大層楽しみにしてくれて、毎日のように記念撮影をした事、そして、携帯でみせてくれた、 私が知らないうちに行われた子供達とイグルーとミニ雪だるまの楽しい時間の記録だった。:)
あの頃、仕事を終えて、ひとり娘のコトリさんが寝静まったら、かまくらが少しでも長持ちするように、深夜にキャンドルとワインお供に外に出て、作業をしてたのだ。
そしてある時に気がついた、かまくらに残された小さな小さな客人の手形、私は毎朝その手形を確認することがとても楽しみになった。
その手形の正体がその子たちだった!
「本当になんて素敵なアイデアだったでしょう!私、この写真を次のクリスマスカードに使うってもう決めてるのよ!」
彼女が見せてくれたの、かまくらの中の小さな雪だるま君達の姿だった。:)
「Wow, thank you! You made me very happy!」
i-podから偶然流れてきた 'ひとつだけ'
記憶の中の雪だるま親子が歌にあわせて踊っていた。
私はこっそり
感動した
やったね〜!
雪だるまくん、やったね〜!
わたしたち、ちょっと、誰かを幸せにできたね!
ひとつだけ by 矢野顕子さん&忌野清志郎さん
♪ほしいものはたくさんあるの
きらめく星屑の指輪
寄せる波で組み立てた椅子
世界中の花集めてつくるオーデコロン
けれども今気がついたこと
とっても大切なこと
ほしいものはただひとつだけ
あなたの心の白い扉 ひらく鍵
離れているときでもわたしのこと
忘れないでほしいの ねえ おねがい
悲しい気分のときもわたしのこと
すぐに 呼び出してほしいの ねえおねがい♪
2013年3月の思い出