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信頼が育む 自己肯定感

前回の投稿で、自然の中でのびのびと子どもが育つことの意義について書きましたが、ただ自然の中で過ごしたらいいの? 大人の関わり方は? という質問がありましたので、そのことについて書きたいと思います。

…お昼ごはんのひととき、野外ではその時間だけ見ても学ぶことがたくさんあります。室内で食べる場合と自然の中で食べる場合、どんな違いがあるでしょう。座る場所ひとつとっても考えることがたくさんあります。
お弁当や水筒を置く平らな場所はあるかな、デコボコしているとコップが倒れてしまいます。寒い時は日向で、暑い時は木陰を探します。地面が濡れていたらどうする?雨が降りそうなときは?風が強いときは、風に背を向けてぎゅっと集まって食べたりします。鹿が近づいてきたらどうする?急に雷が鳴ったら?いろいろなことを想定して、いろいろ工夫しながらも、どろんこ園の子どもたちは「そんなことは当たり前のこと!」とあっさり乗り越えて、毎日おいしい楽しいお昼ごはんです。
野外炊事の日は、それに加えて、包丁や皮むき、かまどづくり。焚き付けになるもの、長く燃えるものを選んで薪集め、焚火の扱いも身につけます。室内で食べる場合と比べてみると、自然の中で育まれる豊かさがよくわかりますね。

そんな、『子どもの生きる力を豊かに育んでくれる自然』ですが、ただ自然の中に連れていけばいいのか、というとそういう訳ではありません。
自然が与えてくれている「失敗をたくさんしながら学ぶチャンス、いろいろな試練に向き合いながら乗り越え、自己肯定感を育む機会」を大人が奪わないことが大切です。

「寒いから服を着て」「危ないからやめといたら」「そんなことしたら汚れるでしょ!」と、失敗させたくない、悲しませたくないという親心から自分で考えて行動する機会を奪ってしまったら、自然の中でも室内でも同じこと。失敗をして、どうしたらいいのかを自分で考えたり工夫する主体的な行動で自己肯定感が育つのです。

また、ダメもとでチャレンジしたり、たくさん失敗してもいいから、自分で決めて、その結果をしっかり味わうことが大切です。
失敗して悲しんだり、泣いたり怒ったりしていても、感情を抑制してはいけません。「ほら、言ったじゃない!泣かないの!」「だからやめとけって言ったでしょ、ぐずぐず言わない!」などと気持ちを表現することを抑圧していたら、どうせ親に話しても聞いてもらえない・・・ということを学んで、大事な時に親子で話ができなくなることもあります。

人はもともと「よりよく育ちたい」と願う存在です。主体的に(※自分勝手や自己中ではない)、自分らしく幼少期を過ごすことで、自己肯定感が育まれ、逞しくしなやかに生きる力を身につけていきます。
過度な手出し、口出し、現実の加工といった過保護、過干渉をせず、子どもを信頼して見守っていきたいですね。

上手くいかない時や辛いこともたくさんあるとは思います。そんな時、生きる力となるのが『自己肯定感』ではないでしょうか。失敗しても上手くいかなくても、自分を否定しないで一旦受けとめ、次がんばろう♪と思える力、そのままの自分を認められる力が、生きていく力になると思います。

令和4年、厚生労働省の統計データの10代の死因の第1位が、自殺となってしまいました。(10歳から44歳までの死因1位)10歳と言えば小学生です。
辛いことです。今、私たち大人ができることは何か、どう生きるか、真剣に考えたいです。

大人にだって、いや、大人にこそ『自己肯定感』は大切です。
核家族化で、孤独な子育てになりがちなお母さんが「みんな頑張っているから、夫も仕事が忙しいから」と家族を頼ることもできず、気軽に相談したり、おしゃべりする仲間もできず、いつの間にか自分を抑え込んでしまっている…。
子どもがぐずったり、泣いたりすると悲しみが溢れて止まらない…そんなときもありますよね。

子どもは身近な大人の姿を見て育ちます。
今こそ、大人たちも『自然の中で、仲間と共に、自分らしく』を共に楽しみましょう♪


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