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ダンサーとしての身体--術後の身体を考える

こんにちは。乳がん闘病中のまいです。

そう、私、ダンサーなんですよ。踊るん。最近はバンド組んで、バンドの中で踊ることが多いん。もともとはミュージカル役者やってました。

ダンサーにとっての身体って、
シンガーにとっての声、
ミュージシャンにとっての楽器と同じなんです。

自分にとっての表現媒体。武器。商品。「見せるモノ」

私は生業としてのダンサーじゃないけれど、舞台に立つときそれは関係ないん。見てくれとるお客さんにはそんなの分からんしね、関係ない。
プロでやってた時も、今も、舞台に向き合う時の気持ちに変わりはない。
でないと見てくれとる人に失礼やもん。

常時、ステージがあるわけやないけど、ちゃんとステージの前には見せられる身体に仕上げてきたし、動ける身体をキープするためのトレーニングもやってきた。
30代になったら、動かさんと衰えるばかりやしねw


そんな私が、ここ3ヵ月、全く身体を動かしていない。
それも大きなことなんやけど、これからのことでいくつか考えなあかんことがあるん。
今日はその話。


身体を元に戻す!

これね、まだ無理なんですゎ。
ほなって、痛いから(笑)
痛いけんって動かしたらあかんわけではないから、別に動かしてもかまわんのやけど。


モチベーションの問題。

痛いのに耐えて動かさなあかんような差し迫ったステージがあるわけでもなく。
どこかのレッスンに行ってるわけでもなく。
自分でやろうとしない限り、動かすことはない。

そもそも、まだ体軸をまっすぐ保つのがつらい。
踊りの種類にもよるけどさ、結構難しいよな、体幹部を動かさずに踊るって。
特に、肩回りが痛い。それって、腕も動かしづらいってこと。

そして、体力が落ちてるから、ステップ練習とか最初はきついやろね~~。
術前は、あんなにいくらでも動き続けられたのに。
今、いつも練習しよった場所が使えんくなってるから、まずどこで練習するん?ってのもあるしね。
自分の身体の動かなさ、息の切れ具合に幻滅するんが目に見えとる。。

もう少し、体力が回復したら乗り越えなあかんところやね。
あ~~、逆立ちとかも今つらいやろな。ってか、まだできないかも?いつになったらできるかなぁ~。


身体の状態を直視する

もちろん、身体のライン(見た目?)が今までとは違うわけですよ。

こういう格好では、もう踊れない?

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これまでの身体のラインを作るにはどうしたらいいのかを考えるか、
今の身体の状態でどう踊るかを考えるか。

まず、そこからスタートせなあかん。

まだそこまで実働が伴ってないけど、下着とか衣装のことをどないかせんとあかん。
衣装ごとに考えなあかんこともあるかもしれん。

いっそ、見た目を気にしないっていうのも、ダンサーらしくて潔い。
別に乳がんだって隠してないし。
まぁ、それがいいかどうかも考えもんやけど。


ダンスには「審美性(見た目の美しさ)」というものがあって、これまで積み上げられてきた方法論によって、キレイに見える角度とか、美しいとされるポーズや身体の位置があるわけなんです。
(↑ダンスのジャンルにもよります。一概には言えない。美しさを追及しないってダンスもありますけどね)
私が今まで経験してきたダンスは結構見た目(形)を大事にするものが多い。
もちろん、私の動きもそれを基にしてるから一般的に「良い」と思われる形になるよう、心がけてる。
(大きく動くとか、腕を伸ばしきるとか、はっきり動く、とかね。分かりやすいってことかな)

実は、キレイに見える角度やポーズってのは個人の体型や個性によって違うもんなん。
腕の長い人が、短い人と同じようにやってもダメ。
小柄な人が大柄な人の真似をしてもダメ。
個人個人、自分の体型や個性に合った「ポジション(身体の位置)」を見つける必要がある。

ダンスの上達が速い人って言うのは、この「自分のポジション」を見つけるのが上手い。
俗に言う、「センスがある」ってこと。こういう人は、無意識にやってる。動物的な勘で考えずとも「いい位置」にはまってる。

私みたいにセンスがない人は、地道に基礎練を繰り返し、指導してくれる人と自分の違いを何度も見比べながら、やっとこさ、「自分のポジション」を手に入れる。
つまり、誰でもやればできるようになるんだけど、センスがない人は地道な努力が必要ってこと(笑)

そんなわけで手に入れた「自分のポジション」が、もしかすると使えなくなることもあるかもしれない。
身体のバランスが崩れてるから。
かばう方がいいのか、隠した方がいいのか、見せた方がいいのか、それはもうやってみないと分からない。

もちろん、今までと同じように身体が動くようになるまで、鍛えなあかんしね。
上腕三頭筋がなくなって、二の腕がぷるぷるしとるし、体幹の筋肉も落ちてる。もちろん、背中、肩を引き下げる筋肉も。

ダンサーにとって、身体の一部を失うって、なかなか一大事件。
それでも踊れるし、表現はできるけど。
車いすや義足のダンサーさんもおるしね。

でも、正直、もっかいゼロからやり直しって感じよね。
今までの積み上げがあるから全くのゼロスタートではないけれど。

動かない身体。バランスの崩れたライン。
とにかく、早く痛みがなくなればいい。もう少し気持ちも前向きになって、術後の身体に向き合えるはず。


再建術をやるかどうか?

先日も乳房再建の話を書きました。
この再建術を行えば、見た目やバランスの問題は解決するわけです。

でも。
もしやるとすれば、保険適用内で考えてる再建術は、
広背筋を胸に移植するって手術。

つまり。
今度は胸と背中を手術するってこと。
二か所、動かない部分ができる。
しかも、おそらく次は術後の治りが今より遅いはず。入院期間長いし。今回の3倍くらい。

もし、私がダンサーじゃなければ、何の迷いもなくこの方法でえぇんやけど。
背中の筋肉って、、、
踊るとき結構大事なんよな。ダンサーなら分かってくれるはず。
何とか残った部分で動くようにはなるって言うけれど。
体軸を保つにも、肩を引き下げるにも、腕を動かすにも、背中の筋肉を使う。
今、胸と脇だけでこんなに大変なのに、背中も動かんようになったら、耐えられるんかぃな。。

もちろん、どんな手術だって時間が経てば身体は動くようになる。
でも、その後のリハビリ、トレーニングを経ないと、踊れるまでには回復せぇへんはず。
この「踊れる」は「動ける」って意味じゃない。
「きちんと人前で見せられる踊りができる」という意味。
私は職業ダンサーじゃないし、踊る機会が多いわけでもないから、そこまでシビアに考えんでもえぇんかもしれんけど。

やっぱり、身体が動かんのは、悔しい。
今まで積み上げてきたもんが、少しずつ失われていくんを感じるんは、つらい。
今もしんどいのに、もっとしんどい思いをもう一度せなあかんのか。

再建術をするかどうか。
時間はまだたっぷりあるから。
これから考えていかなあかんこと。


コンテンポラリーダンスの良いところ

今、唯一身体を動かす機会があって。
とある企画で知り合ったダンスユニット:かえるPのダンスワークショップのアシスタント?みたいなことをやらせてもらってます。
オンラインダンスワークショップ。
その中で私もアシスタントしつつ、踊るわけ。

コンテンポラリーダンスのえぇなぁと思うところは、決まり切った形がないから、個人の動ける範囲で楽しめるということ。
あ、プロの場合はまた別ですよ。初心者が参加する時の話ね。

コンテンポラリーダンスでは、鍛えられたダンサーの身体だけではなく、素人の身体の面白みに着目して作品が作られる場合があるん。
作為のない良さ、というか。
それぞれの個性から生み出される形の面白さに着目するってわけ。

そういう意味では、見た目にそれほどこだわらない。
アシスタントをしていて、そういう自由なところはコンテンポラリーダンスの良さだな、と思う。

今の動かない身体の状態で参加していて、
あ、ここまでなら大丈夫なのか
こういうアプローチ、今まで考えてことなかったかも
ってことを体感することができている。


貴重な、踊る機会。


もう少し、身体を動かす機会を増やして、踊りに対するモチベーションをあげていかんと。


早く、「踊れる身体」を取り戻したい。

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