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農耕接触で元気が回復した話

「まいちゃんは、ちひろと同じだな」
農家のお父さんが、呆れるように、でも楽しそうにいう。
ちひろ、とは、同僚の娘の名前。3歳。
先週の日曜日に、この田んぼにカエルを捕まえに来たらしい。
私も今日、農作業を手伝いながら、現れたアマガエルにはしゃぎ、追いかけていたら、冒頭の言葉。44歳児か……と一緒に苦笑した。

この町に引っ越して来てから、生まれて初めて体験することや、自分が関わるとは思いもしなかったことにガッツリ関わっている自分がいる。
それは、農業。

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で、警戒区域に指定された町の一つ、富岡町。もちろん農業も出来なくなった。
警戒区域が解かれても、除染された農地の上に被された山砂は、農地の土を弱らせた。

その農地を改良しながら、農業を再開し、有機農法にも挑戦している農家さんと仕事をするようになって半年。
私にとっては、(仕事としては)初めての田植えがこの5月に始まっていた。

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とは言っても、私の仕事は、この田植えの記録と、報告というライティング。一眼を首からぶら下げて、記録に残す良い写真を撮って、SNSと報告書に使用して、富岡町の農業再開をPRするのが仕事。1回に100枚くらい写真を撮って、よく撮れた数枚をアップしている。

ただ、その中で、もちろんたくさんの農業の知識は自然と耳に入ってくる。
40年以上生きてきて、こんなにも農業のことを知らなかったのか、知らずに生きて来れたのかと思うほどだ。

農業のことだけでなく、田舎の暮らしでは、私が今まで意識していなかったこと、でも生きていくのに必要なことを、日々体験している。

実は昨日、一昨日と、原因不明の胃痛で寝込んでおり、今日も仕事に出られるか危うかったのだけど、田植えは日程が決まっているので、どうしても行かなきゃなと半ば強制的に田んぼに行ったのだった。

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田んぼはもちろん、人との距離は保てるし、換気は完璧。なにより広々とした景色。
気心の知れた農家の人たちとの会話、あたたかい手作りのご飯。

それでもう、体調不良だったことなど身体がすっかり忘れてしまったかのように、元気になってしまった。

農耕接触、すごい。
ただ、それが伝えたかっただけのnote。

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山根 麻衣子(ローカルライター)
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