見出し画像

【読了】氷柱の声 くどうれいん ※若干のネタバレあり

内容と文体に惹き込まれ、一気に読み切ってしまった。

東日本大震災と原発事故のあと、福島に移住してもなお、何度「私が震災や被災地を語るべきではない」と思ったことか。
ライターとして地域の人たちの話を聴きながら、「これは読者に刺さる」という作為的な思いと「でも地域の人が伝えたいことはそこではない」という思いのせめぎ合いで、原稿が進まなくなることもしばしば。

そしてコロナ禍の今また、「普通に暮らせててごめんなさい」「私程度の不自由で辛いと言ってはいけない」という罪悪感に苛まれてもいる。
そんな「直接的な被災(被害)者」ではない人たちの言葉を、フィクションに包みながらも真っ直ぐに届けてくれる作品に、今この時に出会えて良かったと感じました。

ネタバレになりそうですが……、
私が作品中、1番心に響いた言葉。

「『もっと大変だった人もいるから自分に話せる資格はない』とか言って黙ってるうちに、震災のことを語る人はどんどん減っちゃうし、震災のことを語るっていう一番たいへんな仕事を、結局震災の時一番辛かった人たちにお願いしちゃうってことでしょ。」

「氷柱の声」くどうれいん(2021年/講談社)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000353698

ご支援いただいた分は、感謝を込めて福島県浜通りへの取材費に充てさせていただきます。