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2024.7.6 観光の危うさ ~北海道旅行③札幌~二風谷~旭川
北海道旅行3日目。札幌から旭川に移動する、ぎりぎりまでどうするか迷った一日。
新千歳に寄ってレンタカーを拾って、宿のある旭川まで移動する工程のどこでどこに寄るか。
新千歳に比較的近い、最近できたアイヌ文化関連施設として有名なウポポイに行こうかと思ったけど、評判を見てみるとちょっと微妙なのかも?と気になり、本でよく見た二風谷(にぶたに)に行くことにした。
ウポポイは施設としては新しくて立派だけど、体験的なイベントが多い(私は「体験」の空気が苦手なのでそこまで惹かれない)、敷地が広い(時間がかかる&疲れそう)、スタッフ数は多いが資料数はそんなに多くない、国の施設でお金かかってる感はすごい…みたいな口コミが多くて気になってしまった。
対して二谷は、コンパクトな資料館が二つと、民芸店や伝統的な民家が敷地内にたくさん建っているということで惹かれた。
両親も新婚旅行でそこのアイヌの資料館に寄って、アイヌ初の国会議員として有名だったという創設者の館長本人から直接解説を受けたらしい。
資料館には民具がたくさん置いてあって、音声資料も多かったのがよかった。
歴史に関してはあまり言及がなかったので、予め本や博物館で勉強した上で行けてよかったなと思った。
その後、外にいくつかあるチセ(家屋)を回った。中で織物や工芸品を作っているところを見られると書いてあったので、ちょっとドキドキしながら入った。
1軒目では、おばあさんが敷物を織る作業をしていた。
思ったよりも広かったのにびっくりして、軽く挨拶をしたあと「実際のおうちの中もこんなに広かったんですか?」と聞いてみたら、「わかりません」とわりときっぱり言われてちょっと驚いてしまった。
この場所にいるということは何かしらアイヌに関わる人で、来たからにはいろいろ会話するのがマナーかと思って言ったことだけど、たしかにこのおばあさんがどういう経緯や思いでここにいるかは私にはわからない。好きでここにいるとは限らない。
何かしらの理由で仕方なく来ていて、自分の属性だけを理由に、ずっと昔の文化のことをさも当然のように聞かれることにうんざりしてたりするのかもしれない。
2軒目の人はもう少し社交的な感じの方だったけど、他の来場者とのやりとりを聞いていると、やはり「何かしらアイヌを代表とする人」としての会話にうんざりしてることも全然ありえるなと思えてきて、話しながらだんだん落ち込んでしまった。
単純に働く人として態度が悪かっただけとかタイミングが悪かっただけとも言えてしまうのかもしれないけど、施設の成り立ち含め複雑な歴史があるだろうことを思うと、簡単に個々人の問題として扱うべきではない気がする。
第三者のニーズやあるべき形を考えてこういう企画をやっているのかもしれないけど、当事者の気持ちにあまり沿ってないんだとしたら残念だし、やっぱり過去に差別や搾取があった文化間での観光のあり方ってかなり危うい部分があるんだなと痛感した。