【キャリアチェンジ#1】影と向き合い私が「多拠点心理カウンセラー」になるまでの話(スクールカウンセラー編)
沖縄在住、多拠点心理カウンセラーの下地(しもじ)です。
※「多拠点心理カウンセラー」とは、複数の場所や役割を持ちながら活動する私の働き方を指しています。自分で勝手に作った言葉です。詳しくは、自己紹介をお読みいただけると、嬉しく思います。
本日は、私の仕事の1つ。スクールカウンセラーに就くまでの話をしたいと思います。
思い出のファーストフード店で
1月9日(木)は、スクールカウンセラーとしての仕事初めでした。
毎週木曜日は、B高校に出勤します。勤務時間は10時から。娘を朝8時に保育園に送った後は、高校近くのファストフード店でカフェ・オレを飲みます。
そのお店は、約20年前、教員採用試験(養護教諭)に向けて勉強をしていた思い入れの深い場所でもあります。当時の私は採用試験合格に向かって努力していました。いつも1人で勉強しながら、「いつか自分も教職に就き、充実した日々を送りたい」と未来を描いていました。
こうして同じ場所で、今はスクールカウンセラーとして働く自分を見つめ直すと、なんとも感慨深い気持ちになります。
当時とは違う形ですが、生徒たちを支える仕事に就いていることに誇りを感じます。
精神科医への憧れと、養護教諭への道
高校時代の夢と、挫折。
私は高校生の頃、漠然と「精神科医になりたい」と思っていました。けれど、後になって気づいたことは、「精神医学」に対する興味というより、「心のケア」への興味でした。当時の私は、多くの悩みや苦しみを抱えており、自分と同じような人々を支えたいという思いが心のどこかにあったのだと思います。
当時、医学部受験のための問題集を手にしましたが、精神科医への夢はあっけなく、すぐに挫折しました。若い頃の私は、大きな理想を掲げながらも、現実の厳しさに直面すると逃げてしまう自分を自覚していました。
自分の中に隠れた弱さや未熟さ。それらと向き合う準備ができていなかったのだと思います。
新しい夢
高校卒業後にフリーター生活を経て、私は「養護教諭(保健室の先生)」に自分の目標を切り替えました。「この道を選ぶことが正しいのか」といった漠然とした不安もありましたが、それに気づかないふりをしながら、とにかく前に進むことだけを考えていました。
養護教諭を目指したのも、心のケアへの関心が根底にあったからです。そして、約15年間養護教諭として子どもたちに向き合ってきました。
ユング心理学においての「影(シャドー)」
人生の折り返し地点で気づいた違和感
しかし、その間も私の心の奥底では「教育者」という自分自身の役割にどこか違和感を感じていました。私が本当に求めていたのは「心の本質に触れる仕事」でした。
「教育者」と「心のケア」の間の葛藤
それに気づけたのは、私自身が人生の折り返し地点(中年期)に立ったからこそです。
ユング心理学において、中年期は、それまで自分が気づかずに押し込めていた感情や欲求が、まるで夕暮れの太陽が長い「影(シャドー)」をつくるように、はっきりと姿を現す時期だと言われています。
この影(シャドー)とは、私たちが普段避けている、見たくない自分自身の一部だったり、抑圧された感情、本当の自分です。それは弱さや挫折感、未熟さとして感じられることもあります。しかし、そこに向き合うことで私たちは初めて自分らしさを認め、受け入れ、成長する機会を得るのです。
人生の正午(折り返し地点)は、自分の影(シャドー)と向き合わざるを得ない時期なのです。
私にとって、その影(シャドー)とは「教育者としての私」と「心のケアをしたい私」という2つの間で揺れ動いていた葛藤だったかもしれません。
教育公務員として世間体が良い仕事に就いている私。周りの期待に応えている私。弱くて、ダメだった自分がやっと苦労して手に入れたキャリア。一方で、心のケアを軸とし、1人1人に丁寧に寄り添いたい私。そして、もっと自由に独自性を発揮して色々な所で挑戦してみたい私。
その葛藤は凄まじいものでした。
「影(シャドー)」を受け入れ、これまで構築してきたものを手放すことは怖く、時間がかかりました。
公認心理師へのキャリアチェンジ
「影」と向き合い、決断
けれど私は、最終的には自分の内なる声に耳を傾け、公認心理師へのキャリアチェンジを選択しました。そして、高校でのスクールカウンセラーとしての道も歩み始めました。
公認心理師は、カウンセリングだけではなく「心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行う」ことを業とします。
スクールカウンセラーとして
今、心のケアと教育の両方を兼ね備えたこの仕事に携わる中で、ようやく自分が本当にやりたいことをしているという実感を得ています。
スクールカウンセラーという役割は、私の人生そのものを反映した仕事だと感じています。これまでの人生で得た喜びも痛みも経験も、そのすべてが仕事に活かされているからこそ、違和感が全くありません。
「多拠点心理カウンセラー」という働き方
人生「前半」と「後半」の統合
高校生の頃から漠然と抱いていた“心のケアをしたい”という思い。養護教諭として15年間働きながらも感じ続けた教育者としての自分のなかでの違和感。そして、公認心理師として自分らしく、自由に、様々な場所で新たな道のスタートを切ったこれまでの歩み。
それらすべてがつながり、現在の仕事(働き方)の中で息づいているのだと実感する日々です。
心理学者ユングは、人生の後半は「統合の時期」であると述べています。
私が公認心理師としてのキャリアを選んだのは、人生前半で培った経験、興味、そして葛藤をすべて統合し、自分自身を自分が思う完全な形(=自分らしさ)に近づけていくプロセスの一環なのだと思います。
自分らしいキャリアの追求
「多拠点心理カウンセラー」という仕事を通じて様々な場所で、ご相談者様が自分の影(シャドー)と向き合い、未来へ進む手助けをする。
それは、私自身が歩んできた道を形にしたような仕事や働き方であり、まさに私の人生を映し出すものだと感じています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました😊