百貨店催事で思うこと
私が人気雑貨店にベビーグッズを納品していた時は、コンスタントに納品していました。
それと毎年1回の各店舗巡回展。
ありがたかったけどほんとに大変だった記憶しかありません。
でも私はこの頃、クリエイターというよりメーカーを目指していて、たくさん作っても売ってくれる店がある、というのは正直ありがたいと思っていました。
自分でやる集客はたかがしれています。
SNSでどんなに発信しても大手百貨店にはかないません。
もし、「組織的に複数人で作ってるからたくさん商材を作れる」「もっと今の顧客より条件のいい顧客が欲しい」など、メーカーとして独立を考えるなら、大手百貨店での販売を目指すのも一つの道です。
ただ、そこを最終地点に考えるのは、早計ではないかと私は思います。
百貨店催事はデメリットも多いです。
私が百貨店での販売ができるようになったのはベビーグッズで販売していた頃でした。買取という好条件でのお取引でした。
買取ですしちょっとわくわくですよね。
雑貨店に納品していたものと同じ商材をたくさん作ってお送りしました。
ところが、結果は大失敗。
私も売り場まで行ったのですが、まったく売り場の雰囲気にあっていなくて、すでに売り場から引いてしまっていました。
あの当時、私はリネンなどを使ったナチュラルな雰囲気のベビーグッズを製作していました。
雑貨店だと本当によく売れてる商材でしたので、同じもので大丈夫だろうと思ったのですが、これが全く通用しなかった。
特に関東と関西でのお客様の温度差がかなりあるのも正直な所でした。
関東ならどんどん売れていたのに、なぜか関西ではさっぱり、ということもこの後、さんざん経験しました。
もしかしたら色合いももっとビビットなカラーの方がよかったのかもしれません。
1~2回納品しただけで販売のお話はなくなりました。
その後、百貨店からお声がかかったのは、雑貨店を始めていた頃でした。
以前は私だけの作品だったけど、作家作品ということもあり、大丈夫かな~と思って参加しました。
この時、百貨店催事に参加したのは、まさに百貨店の知名度を利用させてもらおうと思ったから。
百貨店と当店の間に、仲介役の店が入っていたので、売り上げの取り分は10%とかなり低い。それでも在庫を処分できること、もしかしたらお客様がお店にも来てくれるかもしれない、という集客面での期待もありました。
確かに一時集客には役に立ちましたが、はたして百貨店の客が実店舗まで来てくれるか、というと一時的には来てくれたけれど、ずっと来てくれたお客様はいなかったのが現状。
マージンが10%しかなかったので店としては持ち出しが多く、正直マイナスの面が強かったです。
また、百貨店でのルールを覚えなければならず、たとえ自分のブースの客でなくても接客しなければならず大変苦労しました。
自分の店では起こりえないお客様とのトラブルも発生します。
思いがけないクレームをいただくこともあり、正直少ないマージンでは割に合わない、と思って今は完全にやめています。
百貨店での出店をそれとはなしに打診されたことがあるのですが、仲介役の店が間にずっと入っているので永遠に売り上げの10%しか取り分がなく、百貨店でのルールに従わなければならないにもかかわらず正社員ではない、という立ち位置だったのでその話は聞かなかったことにしました。
これ、本当に搾取ビジネスと一緒だなということなんです。
でもそれはここではお話ししません。
また別の機会に。
作っても作っても業者にマージンを取られるとしたらラットレースに組み込まれたようなもの。
百貨店に呼ばれた、人気雑貨店で個展をやった、というのは一時嬉しいけれど、長い目で見た時自分の「儲け」がないことに徐々に気が付かされていきます。
販売のカテゴリーの中で一番難しい集客、ということをあらかじめやってくれている百貨店や人気店の良さを利用するのも一つの手だと思うけれどそれを最終目標にするというのは正直な話、やめた方がいいというのが私の結論です。
百貨店のお客様は百貨店のお客様で、あなたのお客様ではありません。
あなたのお客様はあなた自身で作らないと本当のお客さまにはなってもらえないのです。
百貨店催事や人気店での販売はあくまでも、自分のスキル磨き、お客様の反応リサーチ、自分のファンを見つけるぐらいの気持ちで参加する方が本来の目的に近づける道かと思います。
最終的な目標は何でしょうか。
そこをしっかりと頭の中に入れて、本当のお客さまを得ることに専念してください。