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響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編 武田綾乃
2週間程前に、第3期アニメが終わったばかりで、早速の原作履修でありました。
昨夏公開の「アンサンブルコンテスト」でも、半年間のインターバルがありましたから、個人的にも熱の入り方が違うのは確かにありました。
響け!ユーフォニアム
北宇治高校吹奏楽部、
決意の最終楽章
前編
黄前久美子3年生編です。
生まれ変わった、北宇治高校吹奏楽部の3年目でもあります。
前編と言う事もあるにせよ、一部巷間で噂されていた最大のギスギス展開とやらも、思った程の感じでも無かったです。
但し、不協和音と言う程ではありませんでしたが、暗雲と言うか不穏な空気感は、確かに漂っていたのかも知れません。
多くの新入生と、強豪の聖良女子高校からの転校生である黒江真由(3年)の加入により、北宇治吹部としては着実にレベルアップを遂げている様でありました。
100人を超える大所帯となり、新入部員の中には初心者も居て、全国大会金賞を目標としましたが、夫々の想いの強さには隔たりが確実にありました。
部長である久美子とドラムメジャーの高坂麗奈も例外では無く、友人としての絆は盤石の様であっても、吹部に関しては少しづつ齟齬が拡がっている様でもありました。
そもそも2人の本質的なスタンスは、異なるものでありましたし、それでもお互いをフォローする形で、その危ういバランスを保っていましたから、大きな問題が起きてしまうと対処の難易度が上がるのかも知れません。
そこは、副部長の塚本秀一の出番でありますが、必要以上に前に出る事も無くて、人望はある様ですが幹部内での影響力は余り大きくは無い様です。
まぁ、上手く回っている内は、それでいいのだろうと思いますが、必ずしもそう都合良く事が運ばないのは、言う迄も無く世の理であります。
麗奈のスパルタで、1年生から畏怖の対象となって、大量退部未遂騒動(釜屋すずめの盛り過ぎ疑惑もありますが)を久美子が動いて収めました。
3年前の大量退部事件は、久美子達が入学前の出来事でしたが、それでも当事者達と同じ時間を過ごしていましたから、迅速な対応は頷けるところです。
まぁ、前者はサボタージュが主な原因であり、今回は指導の厳しさでありますから、変われば変わるものです。
無事にサンライズフェスティバルを終えて、いよいよ吹奏楽コンクールに向けての、本格的な練習に集中出来ると思いきや、久美子としては月永求の、前年来の懸案事項を抱える事にもなって、不穏な空気も流れ出しました。
こっからが、色々な意味でも本番でありました。
幹部主導で決められた、オーディション方式の変更(大会毎)が伝えられ、大会へ向けて邁進したいところですが、3年生は進路の問題もあって、明確な目標の無い久美子にとっては悩ましいところでした。
久美子は麗奈から、音大進学を勧められていましたが、当然消去法で選ぶ進路ではありませんし、久美子自身の頭の片隅にも無さそうでした。
麗奈が勧めるのは、他の意味も多分にあって、鬼のドラムメジャーも音楽以外では微笑ましく感じたりしました。
恒例のあがた祭や、3年生の修学旅行(2年生では無いのですね)を経て、いよいよ京都府大会のオーディションが行われました。
結果は、順当にメンバーが選ばれた中で、中学からの経験者であるチューバの2年生鈴木さつきが落選し、未経験1年生のすずめが抜擢される事態となりました。
これに違和感を感じて、久美子に訴えたのが、メンバー入りした同じくチューバの鈴木美玲でありました。
美玲は優れた奏者ではありますが、何故顧問の滝昇がそうした選択をしたのか、考えたりしないのか、ちょっと不思議でした。
私は門外漢なので、奏者としては至って当たり前の判断なのですかね。
部長にだけ疑問を呈している辺り、部内への気配りもしっかり出来ているのに。
久美子はサンフェス後の求の件で、滝への疑念を持っていましたし、美玲も同様だったみたいですね。
更に美玲からは、「3年生は滝を神域(アニメは神格)」「追い立てられている様」等の意見もあり、寧ろこちらが訴えたかった事だったのかも知れません。
但し、顧問を神域化するかどうかは別として、部としての一貫した基準は必要だろうと思いますし、全体的なバランスもそれがしっかりしているからこそでは無いかと思います。
恐らく全国常連の強豪であれば、当たり前の仕組みであると思いますが、それを求めていないからこそ、北宇治高校を選んだとすれば、中々根の深い問題かも知れません。
久美子は久美子で、個人の思惑はあるにしても1年生の件と良い今回と良い、部長としての立ち回りも上手く出来ていました。
ダブルリードの会の、入会資格があるかも知れません。
京都府大会は、無事金賞で代表決定でありました。
エピローグは象徴的と言うか、最後の一文が波乱を予感させると言うか、ちょっと怖かったです。
さて、黒江真由ですね。
幾つかの問題発言はあるにせよ、全てがおかしい訳ではありませんし、悪意に取れば悪意にしかなりませんが、不用意な発言はあったにしても、警戒どころか拒絶に近い塩対応の久美子と、久美子を信奉(神域)する久石奏とで等価でしょう。
真由の内面が描かれていない以上、何とも言えない不思議ちゃんの域を出ませんが、すずめの姉である釜屋つばめとは親しい(寧ろつばめが寄り添う?)様ですし、部内の評判が悪い訳でもありません。
ユーフォの2人にとっては厄介なのかもしれませんが、それは発言以上に真由のの実力に対してなんだろうと思いました。
そして、次の曲(後編)が始まるのです!
(了)