1月の振り返り。~バレエ編~【東京バレエ団・新国立劇場バレエ団他】
②東京バレエ団「ニューイヤー祝祭ガラ」
1月に見た公演の中で最も印象に残った公演です。
東京バレエ団の「セレナーデ」は2019年10月に続き2回目。今回は沖さん、中川さん、金子さんがソリスト。東京バレエ団のセレナーデはアームスの使い方が柔らかく、余韻が残るような(踊りだから残像か?)コールドバレエです。と、いうのは新国立劇場のセレナーデと比較してそう思います。お団子で踊るのが当たり前のバレエですが、髪をほどいて、髪も体の一部としてなびかせながら踊るのってすごく素敵です!
他には宮川さんと秋山さんのタリスマンがとてもよかったです。宮川さんのあの、美しい爪先を堪能できて幸せです。秋山さんの踊りはエネルギッシュであり、透明感がある踊りだと思います。
そして、伝田さんと柄本さんのドン・キホーテ!伝田さんのキトリを初めて拝見したのですが、すごく体が柔らかくてびっくり!伝田さんは表現の雰囲気も柔らかくて、決して「ビシ!バシ!私を見なさい!すごい技術でしょ!」みたいなキトリではないのです。落ち着いていて、安定した輝きがあります。新たな発見をしました。すごかったです!
そして、大トリの上野さんの「ボレロ」いやー、これはもうすごかった。上野さんは以前にも何回か見ているのですが、公開レッスン時のあの独特の雰囲気とか、古典グランパを踊っている時の手足の裁きなどを見ていて、実はあまり良いイメージを持っていなかったんです。また、ボレロの過去映像も見たことがあるのですがあんまり・・・という感じでした。それが、このボレロを見て印象がコペルニクス的転回を果たしました。上野さんはバレエを踊っているのではありません。バレエが、上野さんを踊らせているのです上野さんはこの、ボレロのために存在しているのですそう思わせるほどの強い感動がありました。今までバレエとは表現をするものだと思っていましたが、これは表現などというものでは図れない、人間の本質を見せつけるような上野さんの踊り、そして作品でした。公演前に上野さんのインタビューを読みましたが、「以前に比べて今は自分なりのボレロが踊れるようになった。前は振りを踊るのに一生懸命だった気がする」とおっしゃっていました。なるほど、上野さんは以前のものよりももっと深めたボレロを踊っていらっしゃるのだ、上野さんの解釈と理解が深まったからか、とても納得のいく、素晴らしい踊りでした。あれは地を(台を)踏みしめて踊るから高く飛び上がってはいけないし、上体を大きく反らしてもいけない。苦しんでいるようにもがいているジャンプなのであり、すぐに地に戻ってこないといけない。そういう振りなんだ!と長年の疑問が解決されました。人間じゃない、何か神託を待っているかのような気迫。肉体の叫び、魂の叫びが聞こえてきました。すごかった、とにかくすごかった。このように、人間の本質を滲み出させる作品を作り、そしてそれを踊る者がいて、それを見る者がいる。その場に立ち合うことができて本当に光栄です。生きててよかった!!と思いました。今でもあの時の興奮、感動を思い出します。それが私の中で勇気をくれます。
後日の公演評で、ボレロの際のオケの演奏に触れられていたの、大いにそうだよね(苦笑)と思いました(苦笑)
③新国立劇場バレエ団「ニューイヤーバレエ」
これは既にチケットを買ってあったのですが、中止と聞いてショックでした。でもそのあとに無料配信が決まってハッピー!あんなドアップでしかも無料で見られるので逆に自宅がすごくお高い席のように思えました。
米沢さんのパキータの輝きたるや!すごく細くて毎回心配になりますが、グラン・フェッテの軸も安定していてすごいです拍手 拍手の場面でオーケストラでしょうか、足を踏み鳴らしているように聞こえて。劇場にいる方々で支え合っているんだなと思い、ジーンと来ました。
小野さんと木下さんのContact。目と目は合うのに触れない寂しさ、孤独感がありました。目と目を合わせることでしか共演できない踊り。たまのリフトなどもありますが、ほんの一瞬です。最後は伸ばした手を、小野さんがすりぬけて行ってしまいます。ピアノと弦楽の協奏がとても良い世界観でした。
福岡さんのカンパネラも印象的でした。カンパネラとは男性美としての筋肉、力強さを見せるもの。なるほど。
ペンギンカフェは、ダンサーの顔がわからないで踊るのが、とても面白かったです。最後は箱舟に乗って、その内部が照らし出されます。動物が地球から去ったのか、世界から去ったのか、はたまた動物もノアの箱舟で人間と一緒に来たのになぜ私たちを苦しめるのか、というメッセージだったのでしょうか?環境保護を訴えるにはちょっとラストの押しが弱いかな。
この公演のYoutube、27000人が見ていたそうです。埼玉スーパーアリーナも入りきらないですよね?ドームレベルの人が見ていました。
④デンマークロイヤルバレエ「白鳥の湖」
TwitterのTLで流れてきた情報をポチッとしてみたら、目から鱗の良いものを見ることができました!思い返せば自粛期間中にこのバレエ団の「ライモンダ」を見ていました。
オペラは現代的演出でやるのを知っていたのですが、バレエの古典作品にもこういう、現代の部品を取り入れた演出があるんだ!とびっくり。まず袖幕がなくて、舞台上空には柵のようなオブジェが行ったり来たり。おしゃれドレスに左右非対称の色、怪しい男のフェイスペイント、映画「不思議の国のアリス」に出てくるようなオババキャラの頭、タンクトップ型衣装などなど珍しいものがいっぱい!白鳥のシーンでは上から棒がたくさん降りてくるんですね~そしてそれが光ります。LEDかな?
白鳥の方もよかったです。普通無機質パサパサになりがちな白鳥のアダージオが、こってり濃厚ミルキー味艶々のしっとり。こんなに素敵な白鳥のアダージオがあるとは知りませんでした。
王子様も筋肉か、または体格か、はたまた体幹か、どうしてこんな動きができるの?という驚き。バレエダンサーの手先が素晴らしいなんて、初めて思いました。
他にもスペインの踊りのダンサー、音の取り方音楽の使い方が最高!ランベルセ最高!
このバージョンの「白鳥」、ラストは白鳥の女の人ではなく、間違えて結婚を誓ってしまった黒いドレスの女の人と結婚するんです。なななんと、オデットの魔法は解けなった上に、王子は違う人と結婚、怪しい男の策略にまんまとはまり、国は破滅の道に進みますぅぅぅ・・・
主役の女性良い色気があり、男性上手だし、音楽性好きだし、装置好きだし、これはお気に入りのバレエ団です!クラリネットも上手でオケもお気に入りです。また配信やって下さい。今度デンマークまで見に行きます。今度、遠い将来。
⑤バレエ公演「Soirée Brillante」
これはフリーランスのダンサーの方やお教室の先生などが出ていらっしゃるバレエ公演です。私の通っているバレエ教室の先生がご出演なさるので見ました。以前にも見たことがあります。今回は配信で見させていただきました。
私は、いつもバレエ団の公演を見るので、20代30代のダンサーの踊りを見ることが多いと思います。けれどもこういった色々なお教室の先生が出られる公演は様々な方がご出演され、特に表現力の面で他とは違った存在感を見せられる方が多数いらっしゃいました。
例えば、津田康子さんのジゼル。目の表現と表情がとても印象的で、自然と引き込まれ第二幕のパドドゥだけで涙が出ました。
また、石井竜一さんという方が振り付けられた作品が3つほどありましたが、キリスト教がテーマとなっており、バレエをベースとした振りに神聖な雰囲気が加わり、引き込まれる作品でした。
私の好きなダンサーの一人、浅田良和さんは本当に爪先が美しく、クラシックでも創作作品でも丁寧で端正な踊りをされていました拍手
1月は感染対策で、自宅にいながらパソコンを通して鑑賞する公演が多かったです。ダンサーの踊りを間近で見られる贅沢さもありますが、近すぎて劇場なら見えなかったものも見えてしまったり・・・
拍手しても周りのお客さんと共鳴している感じがせず、パチパチパチ・・・お菓子ボリボリなどと大変マナーの悪い鑑賞をしてしまいました。汗