信州中野から、また始まってゆく——イラストレーター・ほしさんの個展『星影』 2年目レポ
「旅行前日 眠れない [検索]」
とXに呟いた5分後に爆睡。
マンガでもこんなベタな事やらんて。
◇ ◇ ◇
以前から仲良くさせていただいている、イラストレーター・ほしさんから個展開催のお知らせがあったのが昨年11月のこと。
我々夫婦は去年信州中野で行われたほしさんの初個展に伺わせていただいた際、すっかり信州中野の街が気に入ってしまって「また良いタイミングで行きたいねえ」なんて言っていた矢先のお知らせだったので、これは!行くしかない!と大いに浮かれまして。
▼昨年の様子はこちらの記事にて。
一度行った土地ならば旅程を組むのも楽勝楽勝。
在来線で横浜市内の最寄り駅から東京、北陸新幹線はくたか551号に乗り換えて東京から長野へ。そして長野から電車に揺られること18駅……
……いや、今年はそんなにかからないんだよ。
引退した小田急のロマンスカーが長野電鉄で特急ゆけむり号として働いています。
ゆけむり号に揺られながらゆずのフルアルバム『PEOPLE』一周分を聴き終える頃には、去年と変わらないやさしい静けさに包まれた信州中野駅に到着。
私はまた、ハマの4番・牧秀悟が生まれ育った町に会いにきました。
横浜から二段階、長野駅からさらにもう一段階寒さレベルがアップ。
ほー!さっむい!君は今、信州中野にいるよ!と頬に当たるきんきんに冷えた空気が教えてくれた。
目を凝らすと、空の高い所からふわふわと小さな白くて不揃いな大きさのものが舞い落ちてくる。晴れてても雪って降るんだ、と33歳にして知る。
◇ ◇ ◇
10分と少々歩くと、立派な屋根の建物が見えてくる。
明治時代の面影を感じる「中野陣屋・県庁記念館」だ。
ここまで来れば、もうすぐそこ。
大きな窓いっぱいに描かれた、可愛いイラストがお出迎え。
一年ぶりですね、おじゃまします!
入り口ですぐに目に入るのが、本人直筆サイン入りの新キャプテン・中野市スポーツ大使就任のイラスト、ほしさんの気持ちがぎゅっと詰まったごあいさつボードと、牧秀悟(侍ジャパンのすがた)ver.の郷土玩具・中野土人形。
ここから、個展に込められた想いがじんわり伝わってくるような。
すぐ横から始まる展示スペース、まずはおしごと紹介コーナーから。
去年に引き続き圧巻なのは、ベイスターズの勝ち試合がダイジェストのように描かれている『今日の試合』コーナー。
私たちベイスターズファンが喜んだ数の分だけずらりと並ぶ、ほしさんの試合イラスト。ああ、2023年も全力で彼らと走り抜けたなあ、といろんな思い出が頭の中を駆け巡る。優勝、したかったねえ……去年と違う道のりを歩んだはずなのに、前回の個展と同じようにやっぱり涙ぐんでしまう。ぐすん。
他にも選手ごとのコーナーがあったり。
ゾーンごとにさまざまなコンセプトがある中で、一番心に残ったのがここ。
ほしさんがイベントのコンセプトアートやグッズイラストを手がけた球団公式イベント『港星祭』コーナー。
あの日、横浜スタジアムの大きな大きなバックスクリーンにほしさんが描いた学生風の選手イラストが映し出されてアニメのように動いていて、そのすぐ下のグラウンドでは本物の選手たちが今まさに真剣勝負の真っ最中で……
私は今まさに、ほしさんの夢がまた一つ叶った瞬間を目の前で見ているのだなあ、と胸が高鳴ったのを今もすぐに思い出すことができます。
そこで思い出したのが、以前インタビューさせて頂いた際に受け取っていたこの写真。
絵を描く事。ベイスターズを応援する事。そして、牧秀悟選手を応援する事。
好きなもの、好きなこと、好きな人と向き合う事で知った小さな光をずっと追い続けて、ほしさんはここ、信州中野に辿り着いたんだ。
最初はモノクロだったイラストが、カラーになって。
アナログ画材で描いていたものが、デジタルに変わって。
でも根っこの気持ちは変わらずに。
小さな光は、もう小さくなんかない。
たくさんの人が集まって、皆思い思いにイラストを囲んで、それぞれの感想を語り合っている。
りんごのタルトを頬張りながら、ほしさんの夢が繋いできた人やご縁に思いを馳せる。瑞々しくて甘酸っぱくて、丁寧に拵えられたその味にぴっと背筋が伸びる。
◇ ◇ ◇
個展『星影』は、去年多く寄せられた「横浜でもぜひ!」の声にお応えして、待望の横浜会場での開催が決定しています。わあ待ち遠しい!
やさしくて温かい信州中野の空気をまといながら、約150点の作品が横浜スタジアム最寄り・関内駅の一つ隣の石川町にやってきます。
ほしさんの夢は、まだまだ叶っていく最中。
夢の続きはまた横浜で。
◇ ◇ ◇
去年の私と同じように歩き出した後少し振り返って、高社山に向かって「また来ます」と心の中でご挨拶。
また、来ます。
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