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【感想】グレート・ギャッツビーを追え
こんにちは。
昨日、本屋を歩いていたら、村上春樹さん翻訳の新作「グレート・ギャッツビーを追え」が発売していました。
村上春樹さんの作品はとても好きですが、彼の翻訳した本には正直あまり興味が無いので、、、今回もあらすじだけを確認し、買わずに立ち去るつもりでした。
しかし、訳者あとがきを読んで、ついつい本が読みたくなってしまいました。村上春樹さんらしい素敵な表現で本を紹介されてしまうと、読みたいという気持ちが抑えられなくなってしまうのです。
でも2000円弱する単行本を買うときって、勢いが大事ですよね。買うか悩む作品は、数分考えた結果「文庫が出るのを待とう」という結論に至ることが多い気がします。
その、私が惹かれた村上春樹さんの一文を以下に引用させていただきます。
僕はこの本を買い求め、すぐに読み始めた。そしていったん読みだしたら止まらなくなった。そんなわけで、雨の降りしきる緑豊かな五月のポーランドを旅しながら、脇目もふらずにグリシャムのミステリーに読みふける事になった。
という事で私も本作を購入し、2日であっという間に読み終えてしまいました。率直に申し上げてとても面白かったです。読む手が止まらないという経験を久しぶりにしました。
この本は、新作を書けずに悩む売れない小説家「マーサー・マン」と、独立系書店を経営する「ブルース・ケーブル」。この二人によって物語が展開していきます。
この本の軸となるストーリーは作品の帯にも書いてあるように、プリンストン大学から強盗によって盗まれた「フィッツジェラルドの直筆原稿」を探すミステリー小説ですが、それとは別に、登場人物同士のユーモア溢れる会話や、独立系書店を経営するブルースの仕事熱心で色気のある描写がとても魅力的です。年を重ねた仕事熱心な男性ってどうしてあんなに魅力的なんでしょうか・・。
ブルースの書店経営はプロの技であり、本や作家に対する情熱も人一倍です。私もこんな風に書店経営がしてみたい・・と思わず想像を膨らませてしまいます。
そしてなんといっても、舞台であるサンタ・ローザでの生活がお洒落です。よく晴れた日の昼にカフェでお茶をしたり、大きなコテージのあるお屋敷で皆でホームパーティーをしたり。まさに、”夏休み”を感じることができます。
私が憧れた描写を以下に引用します。
ブルースが朝食をベッドに運んできた。パンケーキとソーセージだ。そして二人は「ニューヨーク・タイムズ」を斜め読みして二時間を過ごした。
こんな風に素敵な朝の時間を過ごしてみたいものです。
ページ数は408Pと読みごたえがありますが、「フィッツジェラルド事件」の展開にワクワクさせられながら、一方でカリフォルニア州サンタ・ローザ・ビーチで繰り広げられる彼らの楽しい日常を堪能できる、大満足の一冊です。
読みだしたら手が止まらなくなること間違いなしだと思います。