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一日一書評#1「ジェットコースターにもほどがある/宮田珠己著」(2011)

何かマニアックなものを題材とした本は、内容に限らず惹かれてしまう。今回紹介する本も、他の人がまず扱わないようなものをテーマにしている。

この本の著者の宮田珠己(みやたたまき)さんは、旅行記を中心に執筆しているエッセイストで、これまで国内外様々な場所を旅行し、そこでの体験を面白おかしく書いてきた。旅行記の形態を取りながら、大仏や海の生き物など、特定のテーマに特化した本も多数出版している。

今回紹介する本も、宮田さんが特定のテーマについて書いた本だ。テーマはズバリ、「ジェットコースター」。宮田さんは大のジェットコースター好きで、それが高じてジェットコースター評論家としてテレビに出演したこともある。

この本の構成を簡単に説明する。アメリカのジェットコースターにひたすら乗りまくる第1部、ジェットコースター以外の絶叫アトラクションについても語る第2部、第1部から1年後、再びアメリカに渡り新しいマシンに乗りまくる第3部、日本のオススメコースターを紹介する第4部、ジェットコースターを求めて北米を旅する第5部に分かれている。巻末には、宮田さん含むジェットコースターマニア5人が語る座談会が収録されており、一冊300ページ以上絶叫マシンについて語りまくりで、ただただ常軌を逸している。

第1部に関して言うと、本当にジェットコースターに乗る以外の目的のない旅で、11日間で35の絶叫マシンにのべ60回乗っている。章の後半になると、多少の疲労が現れるものの、次から次へと一定のペースでマシンの感想が綴られている。もちろん宮田さんは絶叫マシンは平気なので、マシンの速度や回転について、大げさな誇張なしで淡々と書かれている。さらっと読むと、「怖くないのかな?」と思いがちだが、集中して読むと、そのリアルな描写に酔いそうになってくる。

絶叫マシンが好きな人も苦手な人も、手に取ってその非日常っぷりを味わって欲しい。


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