[interview]#1 井出天行さん/AMANA COFFEE(北相木村)
「AMANA COFFEE」の井出天行(あまな)さんは、長野県の北相木村の出身。無農薬栽培を中心とするコーヒー豆を、焙煎の機械を使わず手作業で焙煎しています。現在は固定したお店を持っていませんが、その味と、思いと、なによりも人柄が魅力となって、イベントに出店すれば人だかりができるほど人気を集めています。コーヒーとともに伝えたい思いとは何か、インタビューしました。
編集・取材・構成=岡澤浩太郎/八燿堂
写真提供 (*)=AMANA COFFEE
※インタビューのダイジェスト+αはポッドキャストでも公開しています
手焼きのコーヒー焙煎
岡澤浩太郎(以下、K) 私が初めてAMANA COFFEEのコーヒーを飲んだのは、多分、『アースデイin佐久』だったと思うんです。飲んでみたら、ほかのお店とは味が全然違って。それ以来、お店によって考え方が全然違うこととか、豆の種類への興味から豆の生産や流通にかかわる環境負荷のことを知ったりして。だからAMANA COFFEEのコーヒーが世界への扉を開いてくれたんですね。
井出天行さん(以下、天行さん) うわー、ありがとうございます。
K お店のまわりはいつもにぎわっていて、すごくピースフルな雰囲気があるのも印象的で。だからイベントで出店しているのを見かけると買っちゃいます(笑)。機械を使わないで手作業で焙煎しているのもAMANA COFFEEの特徴ですよね。
天行さん はい。ほかのコーヒー屋さんとの一番明確な違いは、焙煎機を使わずに、中華鍋を使って手作業で焙煎していることです。
天行さん 僕は2022年の春からコーヒーの焙煎業を仕事にしているんですけど、教えてくれた父親が僕の小さい頃からそのやり方で焙煎していたのを見てきたので、僕がコーヒーを始めるときには、「そういうもんだろう」って、自然とそのやり方を選んだんです。
まあ、もちろんタイマーで時間を計ったり、毎回ファイルに記録したりしているんですけど、そのときの気温や湿度、ちょっとした火加減、豆の種類によっても焙煎の具合がかなり変わるし、手作業なのでどうしても安定しづらくて。だから、コーヒー豆のはぜる音とか、煙が出てきたり、色もいきなり変わったり、そのタイミングを自分の感覚で見ながらやっています。めっちゃアナログな方法ですね(笑)。
K なるほど、お父さんが焙煎の先輩なんですね。
天行さん そうです。でもこれって多分、コーヒーの専門家の方からすれば正解ではないと思うんです。温度管理や時間、手作業ゆえの焦げが出たりもするので。だけど、「美味しい」って言ってくれる方がいるなら、続けていきたいと思っています。
いま美味しいコーヒー屋さんが本当にたくさん増えていますけど、結局は美味しいコーヒーが飲めればいいわけで、みんながそれぞれその方法にこだわりを持っていると思うんですよね。その方法のひとつとして、手作業で焙煎するやり方があってもいいんじゃないかなって。批判しあうというより、「いろいろなやり方があっていいよね」って。
K いやあ、すごく個性的な味で美味しいと思いますよ。芯が通っているというか。天行さんとお父さんとでは、こだわりが違ったりするんですか?
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