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★無料記事★[interview]#17 TAKERU ANBASSAさん(大鹿村)

この連載は…
長野県の一人出版社・八燿堂によるポッドキャスト「sprout!」の文字起こし+番組未公開パートです。長野県でさまざまな活動する人たちへインタビューしながら、長野県の人、活動、街の魅力をたっぷりご紹介していきます

そして、この記事は2024年12月21日に刊行する『sprout!』のムック版にも掲載されています。本の立ち読みの意味も込めて全文無料で読めるようにしました。ぜひご一読を!



1980年代、近代文明や資本主義に抗って自給自足を志し、都市から長野県下伊那郡大鹿村に移住した開拓者たちがいた。TAKERU ANBASSAさんは、その第二世代。音楽活動と農作業を同時並行し、ライブ会場では有機野菜を販売する日々を送る。「境目はない つながっている世界」とはTAKERUさんの曲「Fly High」の一節だが、先人たちの背中を見てきたゆえに、どうやら思うところがあるようだ

取材・文=岡澤浩太郎(八燿堂)
写真=五味貴志

■プロフィール
TAKERU ANBASSA/長野県下伊那郡大鹿村の自給自足の環境で育ち、12歳から曲づくりを開始。10代後半から都会で暮らすが東日本大震災を機に帰郷、音楽と農を並行する活動を続ける。『ここから祭り』などの音楽フェスのオーガナイズも行う https://www.facebook.com/takeru.anbassa/




※インタビューのダイジェスト+αはポッドキャストで公開しています




12年ぶりの開催『いのちの祭り2024』

岡澤浩太郎(以下、岡澤) 今日は、せっかくなのでTAKERUさんも運営にかかわっていた、2024年の夏に12年ぶりに開催された音楽祭『いのちの祭り2024』について、まずうかがいたいんですが。

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写真提供=TAKERU ANBASSA

岡澤 『いのちの祭り』は、それこそ第一世代の人たちを中心に第一回開催の1988年から大事につくりあげてきた歴史がある。それで私も今年の開催が楽しみで、早い段階でチケット買ってたんですが、当日の朝に謎の体調不良に見舞われてしまい、結局参加できず……。

TAKERU ANBASSAさん(以下、TAKERUさん) それはお疲れさんでした(笑)。

岡澤 はい……。ただ、行った人や出店した知人から話を聞くと、もちろんLOVE&PEACEな素晴らしい面もありつつも、人の数も雨もすごくて会場が泥まみれでぐちゃぐちゃだったとか、ゴミが散乱していたとか、来場者のなかに自ら命を絶った方がいたとか、そういうこともあったと。
その混沌とした感じがなんだか宇宙の縮図のようでもあり、別の見方をすればすごく宿題を抱えてしまったのかなあと思ったんです。

TAKERUさん いろいろな意見があったと思う。俺もいろいろ思ったし。
ただ、とにかくギリギリのバランスで、そこまで考えられなかったんですよね。あのすごい状況で、なんとかバイブレーションで保っていたというか、その部分だけは守りたかったというか。

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TAKERUさん 要は、都会だったんだよね。都会は都会で楽しさはあるけど、せっかく長野の田舎でやるんだったら、もっと余裕が欲しかったとは思いました。

岡澤 余裕、ですか?

TAKERUさん (運営内部で、自分の)確実に知っている友達にお願いしたらいろいろと楽なことはいっぱいあったけど、友達の友達を誘ってみたいな感じだったから、そういう人に何をどう任せていいのかわからなくて。しかも俺も(運営組織の)上に立っていたわけでもないから、そういう意味では遠慮したまま来ちゃったな、みたいな。
だから、『いのちの祭り』をやるんだったら、「なんで集まるの?」というところをもっとはっきりしておくべきだったというか、もっとメッセージを持ったものにしたほうが良かったとは思う。そこをもっとガチっと準備してやってたら、当日はもっと余裕があったはずだし、もっとできた空気感はあったんじゃないかな。

※『いのちの祭り』についてはこちらの記事で紹介しています


同じことをやっても意味はない


岡澤 メッセージと言うと、そもそも『いのちの祭り』は1986年のチェルノブイリ原発事故を受けた反核ムーブメントのなかで立ち上がりました。

TAKERUさん そう、「NO NUKES ONE LOVE」というテーマで。ただ、俺らの世代としてはちょっと薄めたんですよ。

岡澤 薄めた?

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TAKERUさん 結局、否定してもつながりあえない時代だと思ったんです。「反対!」って言っても賛成の人はいつまで経っても振り向いてくれないから。いままでそれをずっとやってても(状況が)変わらなかったのを、俺らの世代は見てきたし、「イタイなあ」とも思ってきた。
だから今回は「『NO』じゃないように伝える時代じゃないか」と。NOのパワーじゃないところで変えたかった。

岡澤 NOではないところ……。

TAKERUさん だけど、もっと中身をしっかり決めて望まなきゃいけなかったし、それが全員の総意ではなかった。むしろ漠然とまとまったみたいな感じだったから、「好き勝手やっただけかもね」というところではある。

岡澤 それは、多様性を尊重しすぎたということですか?

TAKERUさん 多様性に偏り過ぎたというか。「多様性」を掲げて、決めることを決めなかったり。自分のお祭り(自分がオーガナイズするフェス)だったらいくらでも修正できるけど、今回は(関係者全体の規模が)でっかい船だったから、自分が何か思ってても、言うけど、それが通るかもわからないし、みんながその意識でいられるかもわからないし。そこが甘かったかな。
まあ、もちろん全力も最善も尽くしたし、いまさら言ってもしょうがないんですけどね(笑)。

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岡澤 ふうむ、なかなか難しいもんですね……。12年ぶりの開催だったから、まわりが期待しすぎたところもあったかもしれない。

TAKERUさん もちろん、やってよかったことはいっぱいあるんですよ。すごくいい瞬間もいっぱい見たし。でも、「またやれ」って言われても、「どうですかねぇ」ってなるかな(笑)。同じことを12年後にまたやっても意味はないなと。

岡澤 いまは移り目みたいな時期?

TAKERUさん うん、そうではあると思う。とにかく今年は「つなぐ」というテーマだったと思う。上の世代の人と、俺らの世代と、さらに下の世代と、みんなで一緒にお祭りをつくろう、と。そのことに関してはできたと思う。


NOの反対にある希望

岡澤 「NOじゃないパワー」というところ、もう少し聞きたいんですが。
フリーペーパー『DEAL』NO.24(DEAL編集部)はまさに『いのちの祭り』を特集していますが、TAKERUさんは同じく運営に携わった田村至さん(注・『アースデイin佐久』実行委員長、大工、『旅人の祭り』などの音楽フェスのオーガナイザー)と対談していますね。
このなかで、「『ノーニュークス』を超えたところに今はいなければならないと思っているんだよね。そんなの当たり前じゃんっていう。『ノー』ではなく、共有できる希望」と語ってます。

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TAKERUさん NOの反対にある希望ですね。
福井県の大飯発電所の原子力発電所が再稼働するとき、俺、現地に行ったんですよ。稼働するかしないかのときに機動隊が来て、みんな「わー!」って言ってて。
だけど、俺もそのときデモにも参加してたけど、「こんなところで叫んで何が変わるんだろう」「この声は誰に届くの?」って本当に思っちゃって。ただ耳を塞がれて、「聞かなかったことにする」みたいになっちゃうだけなのに、こんなに喉を嗄らして。
もちろんデモも大事だけど、「俺はミュージシャンだし、俺のやることはきっとそうじゃない」って感じちゃったんだよね。

岡澤 反核に限らず、例えばリニア中央新幹線はどうですか?
TAKERUさんは、2015年にリリースした、予定沿線地に住むミュージシャンを集めた、リニア計画を伝えるコンピレーションアルバム『夢のリニア超特急』(Sasage Records)にも参加していますが、TAKERUさんの住む大鹿村は、まさに村の真下をリニアが走る計画ですよね。
今日、大鹿村に取材に来るときも土砂や何かを積んだダンプカーがひっきりなしに狭い山道を通ってましたが……。

TAKERUさん 一時期はすごく考えたけどね。でも、抗う時期はもう終わってしまったというか。もちろん(工事が)止まってくれたらいいなとは思うけど、もう(トンネルを)掘っちゃってるし、止めることはできないわけで。それに、やっぱり俺は「反対!」の図が、苦手になっちゃって。


震災後、都市から土へ

TAKERUさん だから俺が思ったのは、地元のおばあちゃんとかがおにぎりを握って工事宿舎に持ってってあげて、「食べます?」なんて言いながら、「こんな美味しいお米はダンプが通ったら食べられないよね~?」ぐらいなほうが効果あるんじゃないかと(笑)。

岡澤 それは確かに気持ちがグラっと来そうですね(笑)。

TAKERUさん きっとそういうことだと思うんですよ。本当に変えられるのは。

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TAKERUさん いまの時代は「白でもない、黒でもない、何色なんだろう?」というグレーの人が一番多い。そういう人たちはどちらにも転べるんですよ。だから、巻き込めたらすごいことになると思う。というか、それ以外にできる気が俺はもうしない。

岡澤 TAKERUさんがそう思うようになったきっかけは何ですか?

TAKERUさん やっぱり東日本大震災かな。それまで上関の原発の署名活動とかもいろいろやってたんだけど、いざ(大地震や原発事故が)リアルになったとき、俺は東京で暮らしていて、「流通がストップしたらこうなるのか」と目の当たりにして。
ちょうどその頃、自分が歌っていることと現実が嚙み合ってなかったんですよ。「バビロンシステム~」なんて歌って、だけど部屋でエアコン付けててもさ、「ウソじゃん」「俺は何を伝えたいんだろう」みたいになっちゃって。だから気持ちよくちゃんと歌いたいとも思っていて。そんなときに、タイミングがバチっと合っちゃって。

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TAKERUさん それで大鹿村の実家に戻ったんですよ。そうしたら、まったく変わらない暮らしがあった。お米も電気もあるし、「何かあっても、ここなら絶対に生きて行けるな」「こういう暮らしってすごいんだな」って思ったんだよね。
それで俺も畑をやったんですよ。もちろん、昔から親の畑を手伝ってたから、基本知識は体に染み込んでいたし。とにかく「野菜を育てて食べる」「自分のぶんはつくる」っていうことをやりたかった。それがいまも、俺のなかではテンションをキープするものなんだよね。


親の背中を見て、自分は

岡澤 ただ、ご両親の世代の人たちの背中を見てきて、TAKERUさん自身にも思うことがあったと想像してるんです。例えば、自分の畑とご両親の世代の畑で違うところはあると思います?

TAKERUさん 親父の時代はめっちゃ本気だったですからね。親父たちはまったく何も知らないところから始めてるんですよ。親父は小豆島、母ちゃんは東京の人で、もともと農家だったわけでもないし。だから、それこそ地元のおじさんとかにいろいろ教わったりして。

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TAKERUさん あと大鹿にアキラさんっていう、自力ででっかいログハウスを建てちゃうようなすごい人が、山の上のほうの畑で花をやっていて。その人とすごく仲良かったから、うちはその隣の畑で無農薬の野菜をちょっとずつ始めたんですよ。

岡澤 アキラさんって八角堂を建てた人ですよね。夜な夜なライブハウスと化しているという噂の(笑)。それで、TAKERUさんも農を教わって?

TAKERUさん でも俺はすっごいイヤだった。なんかもう、本気の出荷で(笑)。毎週土日に駆り出されて、箱詰まされて、生活クラブとかに何十箱も、みたいな。「なんで俺は毎週末こんなことさせられてるんだ?」って思ってた。
まあ、親は苦労してたなと思う。値段もすごく安かったし。そういう姿を見ていたから、東京とかではそれより程よく高い値段で売れると思った。向こうはいい野菜もないし、高いし、だからその穴をちょっと狙いに行こうかという感じて始めたかな。

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岡澤 そういう流れがあって、自分が演奏するライブ会場でTAKERUさんやご両親がつくった有機野菜を売り始めたんですね。それはいまも続けているんですか?

TAKERUさん ずっとやってますよ。めっちゃ売れるんですよ。多分、普通に売るより全然。あとやっぱり、ライブ後のほうが売れる。それでCDを持っていかないからいつも怒られるんですよ。「野菜ばっかりでCDは持って来ないのか!」って(笑)。


正解は無数にある

岡澤 野菜は無農薬で育てているんですよね?

TAKERUさん そう。だけど実はそこまで有機にこだわってないし、農薬を使う人を否定したいとは全然思わなくて。

岡澤 それはなぜ?

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TAKERUさん 田舎のおじいちゃんたちは、もう手が回らないから農薬とかも使ってて。だけど、おじいちゃんたちがペレットで除草剤を田んぼに撒く気持ちなんてめっちゃわかるし。だって、あんなの手でできないもん(笑)。だからそういうやり方に口出すことはしないし、農薬を使うことも理解してあげないと。
それに、正解はいっぱいあるってことだと思うんですよ。例えば、自然農法はもちろんすごいけど、農法は何万通りもあると思う。俺は、いろいろな農法があって楽しくていいと思うし、何かに限らなくていいと思うし、合う合わないで決めたらいいと思う。俺だってマルチも全然使うし。そうじゃなきゃ追いつかないから。「俺に合ったかたちはこれだな」と。それぞれに合ったかたちでやればいい。

岡澤 自分の子どもに自分の跡を継いでほしいとは思わない?

TAKERUさん 全然思わないですね。だけどスキルとしてあったらいいなとは思う。植えるのとかも全部教えているし、結構一丁前に働いてくれるんですよ。野菜を育てて食べるっていう、地味なことが一応体に染みついている。それで将来、別にそれをやらなくてもいいし、引き出しがひとつ増えればいいと俺は思ってる。


「オーガニック」を超える

岡澤 ちなみに聞きますが、最近は一般のスーパーとかでも広まりつつある有機JAS認証についてはどう思いますか?

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TAKERUさん どうでもよくて。もちろん認証を取ってちゃんとやっている人もいるけど、結局ビジネスの話になっちゃっているし、仕組み自体がクソというか(笑)。だって、無農薬でやってもサポートが入るわけでもないし、基準に沿った人だけが儲かるし、やろうと思ったら大規模農家じゃなきゃ無理だし。

岡澤 確かにそういう問題点はありますよね。あと、有機農家のなかには、隣の畑で散布された農薬が自分の畑に飛んで来て揉めたとか、そういう話も聞きますけど、その辺は?

TAKERUさん それこそ「『なんでお前らは無農薬でやってんのか、農薬使わないと虫ばっかり来るぞ』って文句を言われる」ってよく聞くけど、それは付き合いができてないだけだと思うんだよね。「でも、こういうふうにやりたいんですよ」「昔の人はこうしてたし」っていうコミュニケーションさえあれば、「そうなんだな」って。

岡澤 そこも否定はしないということですね。

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TAKERUさん そう。むしろ「この時期はこれを植えて、こうやって土寄せしたらいいんだぞ」とか、そういうことに関してはおじいちゃんたちが全然大先輩なわけで。電気が止まっても、ガソリンがなくなっても、生きて行く術を持っているのはその世代の人たちしかいない。そういう日本のカルチャーを受け継がないと、やばい時代だと思うんですよね。

岡澤 つまり、有機かどうかよりも大事なことがある、と。

TAKERUさん うん、「オーガニック」で視点がすごく狭くなっちゃうのは、すごくもったいない。もちろん、自分は無農薬のものを食べていたいし、子どもにも食べさせたいし、仲間たちが食べるのも安心できるものだったらいいなと思ってる。
でも、だから、「オーガニック」の境目はあまり考えていない。結局、農薬使っても使わなくても、それでも田んぼの景色が続いていくとか、それでもお米を自分たちでつくっているとか、俺は全然そっちのほうが素敵だと思う。


つなぐ世代として

岡澤 自分たちでつくる……。

TAKERUさん 結局、「みんな野菜を育ててくれよ!」って思うんですよ(笑)。自然食品の店でめっちゃ高い有機野菜を買うのも、俺の感覚からするとちょっとずれていて。だから小さい畑でも、虫食いでもいいから、「自分で育てたものだから」って食べるのが一番だと俺は思う。

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岡澤 世の中がそうなるためには、どうしたらいいでしょう?

TAKERUさん 俺は、これをやり続けるってことだと思うけどね。野菜をつくって、音楽をやって、お米をつくって、食べる、それができればいい。俺の役目は多分それかな。
単純に、そういう生き方をみんながどんどんしていけばいいんじゃない? 庭のプランターで野菜を育てるのでもいいんですよ。「ちょっとやってみる」という第一歩を踏み出せるかどうかだと思う。そのちょっとした思考の転換が、すごい転換になる。政治を変えるより根本的な意識を変えるほうが全然簡単だし、現実的だと俺は思う。

岡澤 実際に畑をやる人は増えているんじゃないですか? 地方に移住したり、都市で貸農園を借りたりして。

TAKERUさん そう思う。「畑を始めてみたんだよね」とか、無農薬の野菜とか、それこそNO NUKESだって、当たり前になってきてると思うんです。それが「格好いいね」って主流になったら、世界が変わったということだと思うんですよ。

岡澤 世界が変わってきている実感はありますか?

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TAKERUさん 若い子たちとか、面白い世代が出始めていて。めちゃくちゃ意識が高いとか、ちょっと超越してる感じの子たちが、結構畑に興味あるんですよ。例えば、いまうちに来ている子は15歳で、3か月くらいうちの実家の自給自足に付き合わされているんだけど(笑)、すごく素直に、「畑をやりたいんです」って。

岡澤 15歳で? それはまさにニューホープ……。

TAKERUさん そう。俺らのときは「格好悪い」と思っていたことを、逆に「格好いい」と思える世代が、実は増えているんですよね。これはもう、そういう兆しなんじゃないかと思ってて。その子たちが本当に頑張れるような感じになったら、すごくいい。その子たちが未来だな。だからやっぱり、俺たちはつなぐ世代ってことなんでしょうね。

(2024年9月、長野県下伊那郡大鹿村にて)


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