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西岡まほ
2017年12月15日 17:17
「すみませーん、生中ひとつ」「はーい、中生ですね」はちまき姿の店員の威勢のいい声がカウンターに響く。『中生』だったのか。ああ。それを飲みたかったのは私ではなく、私の隣に座る人だった。高校時代の担任で、私の恩師であり友人だった。17歳の頃唯一話ができた大人と、道玄坂で酒を飲みながら世間話をしているのが不思議だった。きっとあの頃とは変わっていて、それでいて少しも変わっていないふりをしていた