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一難去って又一難

子宮体がんの手術が終わり、自宅での療養の日々が始まりました。その間も乳がんの診察は続いていましたが、いったん気持ちをリセットして、新たに乳がんと向き合おうとうしている段階といったところでしょうか。とはいっても気持ちはすっきり晴々とはいかなかったし、常に次の検査やその結果のことでモヤモヤしていました。

退院してから3週間程経過した頃に、術後最初の婦人科の診察がありました。術後の経過と病理検査の結果を聞きに行きます。
正直この時点では子宮がんは私の中では終わったことになっていました。なので軽い気持ちで、そう、先生にお礼を言いに行くような感覚だったと思います。

手術での様子などを聞いた後、先生から病理検査の結果を伺いました。ステージⅠのがんでリンパ節への転移もありませんでした。しかし、その後に続く一文がありました。「脈管侵襲がみられる」といった内容でした。
脈管侵襲。聞きなれない言葉ですが、脈管とは血管やリンパ管のことで、侵襲とはがん周囲の脈管にがん細胞がみられた。という事らしいです。要はこれから先、転移の可能性があるということなんだそうです。
子宮まわりはもちろん、血管にのって全身に転移する可能性もあるということ。思いもよらない言葉に、すっかり過去の事に思えていた子宮がんがまた亡霊のように私の前に現れました。
そこで先生から提案されたのは、抗がん剤です。抗がん剤、恐れていたワードです。強制ではないけど、やった方が良いという先生の言葉。

私は母を大腸がんで亡くしていますが、抗がん剤を投与してどんどん弱っていく母の姿が目に焼き付いて、今でも忘れられません。
その時からの私の抗がん剤に対する疑念は今でも払拭できていません。
その為返事はできず、一度ゆっくり考えさせてもらうということで診察を終えました。

その瞬間から抗がん剤のことで頭がいっぱいです。先生から渡された抗がん剤の説明書を恐る恐る読んでみます。今回はTC(パクリタキセル・カルボプラチン)療法だそうです。人生で始めて口にする単語です。読めば読むほど恐ろしい情報ばかりが目に入ります。脱毛、慢性的なしびれ、爪の変色、肝機能障害などなど。
他にもネットでも調べてみましたが、抗がん剤はがんの種類によって使用する薬剤が違い、その中でも子宮がんと乳がんに使用するものはかなり副作用が強いだなんて情報も目にしたもんだから、いっそう恐怖心が増します。不安と恐怖が脳内を占拠して、眠れない日々が続きました。仕事中でも気がつけばこのことばかり考えてしまいます。
答えが出ないまま、一週間後の再診日です。先生になんて返事をすればいいのか。

診察室に入るなり先生からの一言。やっぱり抗がん剤受けて欲しいと。
ですよね。。。標準治療といわれるものではこれが自然の流れですし、先生も私のことを思って言って下さるのですから、当然のことです。私もせっかくきれいに腫瘍を切除していい状態になっているのだから、それを維持するためには抗がん剤をしたほうがいいのかもと思い始めていました。数ヶ月間病院に通いつめていると、病院脳になってしまうというか、それが普通の事と思ってしまうんですよね。周りは皆それを受け入れて、治療に専念されている方達なので、一種の洗脳に近い状態になって、自分を見失ってしまうといった感じでしょうか。

標準治療をされて、がんを克服された方もたくさんいらっしゃると思います。今現在もそれでがんばっていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。実際私も手術のおかげで腫瘍を取っていただいた身ですから、先生にもとても感謝しています。でも、これが全てではないとも思いたい。
以下心の叫びです
製薬会社さん、抗がん剤ってもう少し何とか改良できませんか?髪の毛が抜けたり、内臓や免疫力に相当なダメージがきたりって辛すぎます。腫瘍だけにアプローチするような薬開発してください。もう懇願します。そうしたら迷うことなく抗がん剤受けるのに。

この頃乳がんの手術の日程が決まりそうな時期でしたので、それを優先した上で抗がん剤治療のことを考えようということで、最終の返事を2週間後にすることにして帰宅しました。




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