私が26歳になったよ
26歳になった。
誕生日がぞろ目だと、パスワードに自分の誕生日が使えない。
そのせいでちょっとしたアカウントの登録には友達の誕生日だとか、そういう番号を使ってる。
初めて付き合った彼氏の誕生日、とかでもいいのだろうけど、そういうのにはしていない。
20代の前半のほぼ大半はうつ病で消えた。
大学はちゃんと通えたけど、それからあとのキャリアはほぼ無い。
会社には今もたまにしか通えない。
だから、あまり急がない仕事とか、必要性の低い仕事しか降ってこない。それでも意外と楽しい。社会の歯車になれなかった数年間があったから、この数カ月は嬉しい。
会社の人には良くしてもらっている。
いつか病気がよくなったらもっとできることが増えるかもしれない、と思っている。
友達が大好き。
高校時代も大学時代も、私は人に恵まれていると思う。
みんな自分の価値観をしっかり持っていて、美学があって、それのせいで苦しんだりしながら生きている。
もっと自由に、社会に流されながら生きていた方が楽なのかもしれないけど、そういうほうに流されないで、色んなものに縛られて生きている姿を、私は愛おしいと思う。
恋人はずっといない。大学自体に、自分のセクシュアリティがアセクシャルというものだと気づいた。私には恋愛感情がない。
昔から「彼氏がいるところが想像できない」と言われてきた。
想像も何も、そういう感情がないのだ、ということに気づいて、私はずいぶん楽になった。自分に恋愛を強制しなくなった。同時に、周囲の異性になるべく気を持たせない振る舞いができるようになった。
高校時代に聞いた歌を今でも聞いたり、歌うことがある。さすがに歌詞がおぼつかない箇所がある。それでも、もう何年も前に解散したプロとしてデビューできなかったバンドの歌を、今でも応援歌として歌っている人間がいることは、そのバンドのメンバーにとって意味があるんじゃないかなとも思う。
生まれてからずっと低体重だったのが、少し改善された。うつ病の薬の影響だけど、これは結構嬉しいニュースで、自分の腕がもちもちしているのはすごく愛おしい。でも一方で、腕時計がきつくなったことをプレッシャーに感じたり、久しぶりに会う人に「太った」と思われることを怖がっている自分もいる。「痩せている」というアイデンティティが消えることが怖い自分がいる。
わたしが26歳になった。
いいことも悪いことも指を折って数えられる。
嬉しくて泣くこともできるし、悲しくて泣くこともできる。
いつも、その両方を持って生きている。
たくさんの人に愛されていることを嬉しくも思うし、開放されたいとも思う。
これからもきっとこんな感じで生きていくんだと思う。
特別なことをするのはあまり得意じゃない。
今日も別に、ケーキを買ったりしないと思う。
ただ、生まれて26年が経った。
望まれて生まれてきた命が26年経った。
ただそれだけで、あまりある日。