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【短編小説】dreaming for an angel②


いつから目の前のご飯のご飯の味がしなくなったのだろう。

るり子は天井を見つめる。るり子は内向的な性格ではあるけれど、外交的な性格を演じるのは得意であった。そしてそれをうまく演じている自分も好きだった。映画も『ミーンガール』や『クルーレス』、『キューティーブロンド』あたりをよく見るし、そういう素直な感情に従って、喧嘩もするけどそれと引き換えに深い絆のある女の子が大好きだった。だけど、無理をしているなと自覚することも度々あった。


ーーー私は私と友達になりたいーーー


それは自分が1番自分のことをわかっているとかの傲慢さではなくて、友人とうまくやるための処世術だと思った。
私はどこだろう、私はどこにいるのだろう、私は?

そう考える時現れるのは羊によく似た天使なのだ。
彼女の口癖は「いつか」や「どうか」で子守唄が得意。
肯定も否定もしない、ただ許してくれる、私という存在を。

そんなことを考えながら、梨香子とちかと一緒にいる日々を消化している。

ある時から梨香子とちかと一緒にいるとひとりぼっちだと感じることが増えた。
みんなといるのにひとりぼっち、あーこれが疎外感というのか、と思った。

でも私には天使がいる。羊によく似た。

天使が現れてから私は夜が少し怖くなくなった。
梨香子とちかといる時にそこが居場所に思えなくても、へいきになった。

私にとっては天使が居場所なのだ。
居場所に感じられないことを前提に日々を編む。
そうするといくらか心に安らぎが感じられるのだ。

もうるり子の話は終わる。
けれど最後に天使の特徴をひとつ教えてあげよう。

天使には口がない。
口がない、けれどその分あなたがどんなに悲しくても、はたまた楽しくても、その気持ちに合わせて寄り添ってくれる。
言葉で表現できるものだけが全てではない。
それを祈りと呼びたい。

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