子育てが辛かった私が今保育の仕事をしている理由(その6)
前回、保育の仕事に就くために研修を受けた、というところまで書きました。
研修は、講義形式で理論を学び、その後、保育施設での実習がありました。
実習先の保育園で、1才児クラスの子ども達を寝かしつけることになり、2人の子ども達の布団の間に座って、とんとんと背中を優しくタッチしていると、子ども達はだんだん瞼が重くなってきて、スース―と寝息を立て始めました。
ただ、それだけの事だったのですが、私は急に涙があふれてきて、涙が頬を伝わって落ちていかないようにするのが大変でした。
他の職員さんがそんな私に気づいたら、きっと驚いてしまうでしょう。
それに、私自身も、何が起きたかその時は何が何だかわかりませんでした。
「どうしたの?」と質問されても、ただただ胸がいっぱいになって、説明なんてできなかったでしょう。うっかり話そうとしたら、声をあげて号泣してしまいそうでした。
その時は、ただただ、自分の気持ちがそれ以上高ぶらないように抑えることに必死でした。
実習を終えた後、帰宅して、落ち着いたところで実習で感じたことを思い起こしました。
私は、子ども達の寝入って行く様子や寝ているところがただただ可愛かったのと、自分には娘がいるのに、子育て中にはこのような寝かしつけをした記憶がほとんどなく、一体私は今まで何をしていたのだろう、娘たちの子育て中に何をみていたのだろうという後悔と、でも当時の私は働きながら子育てするのに精いっぱいで、当時の私にはできなかっただろうという残念さ、そして仮に私が専業主婦だったとしても、当時の私はやはり自分の境遇に満足ができず、不満をもっていただろうという気持ち、そして様々な出来事を経た今の自分だからこそ、「ただただ可愛い」が感じられるということ、そうなれた自分に少し慰められている、でもここまで時を経なければわからなかったのかと思ったり、そういった気持ちがまぜこぜになって、感情が大揺れになったのだと感じました。
そして、私が背中トントンすることで、寝入ってくれた子ども達、もうそれだけで、私は癒されて、あぁ、保育の仕事って良いなと思ったのです。
私は人の名前を覚えるのが苦手なのですが、実習の際には子ども達の名前を覚えて、呼びかけることができるようになりました。
これも、今までの私にはなかったことでした。
いつもは元気でニコニコのAちゃんが、今日はちょっとしたことですぐ泣いて元気がなく、いつもより顔色が赤いようだと、職員さんよりも先に気づけたこともありました。
実習が終わり近くになると、子ども達が絵本を「読んで―」と持ってきて、両膝に座って来てくれるようになりました。
つづく