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「 やくそく の かみ 」あの約束が心に灯った。

私がまだ大学生で先生になるための準備期間、卵だったとき。
あの子との素敵な出会いがあったこと。

完遂

寒い冬。ちょうど今の時期。
私が資格を取るために最後の実習でいった幼稚園。

その幼稚園への実習は5回目。
とても縁あってどこに進学しても
その場所で子どもたちと過ごす数日間
あるいは数週間を楽しめた。

最後の実習期間。
とても苦しく苦い思いをして終えたことを忘れない。
だけども何倍も幸せで暖かくて穏やかな記憶が
辛かったはずの実習をいい思い出として残してくれている。

あの子たちとの時間が
彼らと同じくらいの歳で願った
私の夢を叶えてくれた。

ありがとう。

数年後の約束

寒い冬。ちょうどあの時と同じ時期。
私が職場から忘れ物を取りに急いでいた道。

男の子が歩いていた。たくさん荷物を抱えて。
彼をみて一気にフラッシュバックしたひとつの思い出。

ある真っ赤な可愛いマークのクラスにいた男の子。
植物や動物にやさしくて、話ながらコロコロ変わる表情、
ちょっぴりませた大人を真似た言葉遣い。

彼はそのとき5歳。
幼稚園の一番大きいお兄さんクラス。

気づいたら私のそばにきて
園のルールや生活など
いろんなことを教えてくれた。

さすがはお兄さんクラス。
小さいお友だちの面倒をよくみて
誰かをお世話するのが好きだったように思う。

毎日外遊びで冒険をして
砂が舞い上がるくらい駆け回る鬼ごっごをして
製作や絵本、歌をうたった。
あっという間に実習最後の日。

最後とわかっているお兄さんクラスの子どもたち。
寂しそうに、だけど私の再来を歓迎して
ずっとニコニコ遊んでくれた。

ちょっぴりませた男の子。
こっそり私の耳元でしてくれた
かわいい質問。

「ぼくと けっこん してくれる?」

きっと意味はあまりわかってない。
だけど彼なりの「大好き」の伝え方。

初めて好きな子の名前を教えてくれたと
彼の保護者から聞いた。

とても嬉しかったし
小さな男の子からの真剣なお願いに照れた。

「うーん。もっと大きくなってからね」
そういうと「小学生が終わったら?」と聞かれたので
頷いておいた。

最後の時間、帰る間際にあの男の子に
一枚の紙を渡された。
自由に使える裏紙に書かれた私と彼の名前。

「けっこん の やくそくの かみ」

とてもかわいい約束をくれたのだ。
今でも思い出としてアルバムに挟んである。

道であのこと会うまでは忘れてしまっていた
あのときのかわいい思い出。
仕事が終わったら「やくそくの紙」をみてみよう。

きっと私のことは忘れているだろう。
あの子はすっかり背が高くなって
黒の立派なランドセルを背負って
もっともっとお兄さんになっていた。

だけど私が保育士として頑張りたいと
子どもたちからもらえる日々の小さな幸せを
集めていきたい。やりがいにしたい。と思えたのは
この約束の紙もひとつの理由になっていたはず。

成長したね。
キミとの再会がまた、
忙しくて吹雪いていた私の心をあたたかくしてくれた。




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