認知症の方がよく聞くこと4選とその対応
皆さまお疲れ様です。
今回から私の本職である介護福祉士としての知見のもと、
高齢者介護に関する情報も発信していきたいと思います。
今回は認知症の方がよく質問されることを4つに絞り、
その返答の仕方や対策について紹介していきます。
この記事は認知症を脳科学の視点から行動や発言を分析した
『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』
という本をもとにしています。
個人的に認知症の方とそのご家族が抱えている問題をもとによく調べられている
名著だといえます!
この本の中から私が現場を通してよく認知症の方が発言されていることを
4つ厳選しました。
現在ご家族で認知症の方がいる方や同じ介護職の方に少しでも参考になれればと思います。
1.なぜ同じことを何度も聞くのか
何度も同じことを聞かれることは多いですよね。
その背景として、本人の中でその質問の問題が
解決していないという思いが強いです。
脳には記憶を司る部分である海馬という部位があります。その海馬が萎縮してしまうと記憶が保てなくなり、生活の中で今までできていたことを失敗することが増えてきます。
その分本人の中で自尊心が脅かされ、自信をなくしてしまい、
その不安から何度も聞いてしまうのです。
そのためまずは、あなたのことが大切であるという言葉がけが大切です。
そこで安心感を作り、本人ができていることや知っていることに注目して、
まだ覚えているという成功体験を共有していくことです。
そうすると本人の中でこんな質問をしなくても自分は大丈夫なんだという安心感につながっていきます。
ちなみに本にあった事例では実際に同じことを聞かれることは減ったとのことでした。
2.なぜ入浴や食事を拒否してしまうのか
私の職業上これは何度も経験してきました。
拒否をしてから再度促すと応じてくれる方もいますが、一向に態度を変えない方もいらっしゃることが多いです。
この場合本人が拒否する理由の背景を考えることが必要になってきます。
命令されることが嫌なのか、または何を根拠として嫌なのかをはっきりさせることが必要です。
大抵の場合新しいことを始めることや環境に入ることに対する不安から拒否につながりやすいです。また、本人としては困っていることをわかってほしいという思いがあります。
自分の思いを伝えにくくなっている分、その拒否につながっている背景を探ると解決策を見つけることができます。
3.なぜ、大事なものをなくすと身近な人のせいにしてしまうのか
私たちが大事なものを失くすと不安になるように、認知症の方は記憶を辿れない分不安はかなり大きくなります。
その不安から身近な人を疑うケースが多いです。
これは「神経症的傾向」という心理傾向からきていて、小さなストレスでものすごく心配になったり、時に妄想的になってしまうことです。
認知症の方はこの神経症的傾向がかなり強く、妄想が膨らんでしまうことが多いです。
対策としては、本人の生活習慣に合わせて
物を無くさない工夫を本人と一緒に考えることが有効です。
例えば置きやすい場所を作り普段からそこに置いてもらうようにする、
小物ならお気に入りのストラップ等をつけて専用のカバンに入れるといった工夫です。
本人と一緒に考えることが安心感につながり、一緒に考えた分疑うことが少なくなってくると考えられます。
4.なぜサービスを拒否してしまうのか
「自分はこんな介護サービスを受けなくても大丈夫だ」という思いから、
在宅や施設での介護サービスを拒否されることがあります。
本人自身が認知症であるとわかっていたとしても、現状のままで大丈夫だと正当化することはよくあることです。
この現状が良くない状況でも何とかなっていると正当化する心理傾向を
「ストックホルム症候群」といいます。
認知症の方の場合この心理傾向が特に強いと考えられています。
しかし介護サービスを受けなければ生活が難しい場合、本人の気持ちを尊重しつつ、そのサービスがこれからも元気でいられる方法
であることを納得してもらうことが必要です。
例えば施設に見学に行く場合、そこでは新しい出会いや刺激を得られる場所
として紹介するといった感じです。
いずれにしても本人の気持ちを大事にして、一方的に家族だけで決めず、
本人に合ったサービスの形を見つけられると良いでしょう。
ここまで4つのケースを紹介してきました。
どのケースでも本人の思いを大切にすることから解決策が見えてくる
ことが多いです。
先に紹介した本では、他にも多くのケースを扱っているので、
気になった方は読んでみることをお勧めします!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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