ヒジャブの中の髪の毛を恋人に見せる瞬間
ヨルダンに戻ってきて、以前にアンミーヤ(アラビア語ヨルダン方言)を教えてくれていたヨルダン人の女の先生と再会した。
とってもオシャレで可愛くて、洗練された都会の女性。性格も明るく、先生の授業はいつも賑やかで楽しかったのを覚えている。
授業の時には、問題に正解すると「イエーイ!!」とハイタッチをしてくれた。しかし、同期の男性隊員が正解した時には、「イエーイ!!」とハイタッチをしようとするものの、手と手が合わさる直前で寸止め。エアーハイタッチをしていた(笑)
イスラム教では、家族以外や、婚姻関係ではない異性同士が触れ合うことは禁じられている。そんなことを知るきっかけの出来事でもあった。
そういったイスラム教の知識も教えてくれた先生と久しぶりに会うと、最近なんと結婚したらしく、結婚式でのウエディングドレス姿の写真を見せてくれた。
普段はヒジャブ(イスラム教徒の女性が髪の毛を隠すために頭につけている布)を被っていて、髪の毛を全く見せていないので、ヒジャブをつけずに髪の毛をおろした状態の先生のウエディング姿はとても新鮮で、少し雰囲気も違っていて、とっても綺麗だった。
そんな中、結婚に至るまでのお付き合いのことや、結婚式でのエピソードを教えてくれた。
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先生の旦那さんとは昔からの知り合いだったけど、付き合い始めたのはこの1年以内のことだったらしい。
ほとんど毎日会っていたし、2人でいろんなところに遊びに行ったりして、絆を深めていっていた。でも、手を握ったこともなかったし、触れ合ったことは一度もなかった。
ヒジャブの中の髪の毛も、旦那さんに今まで一度も見せていなかった。
そしてようやく迎えた結婚式当日。
初めはヒジャブを被った状態で過ごしていた。途中、結婚の契約の儀式が行われた。それが終わってから、初めて旦那さんの前でヒジャブを外した。
そうすると、ヒジャブを取った姿を見た旦那さんは涙を流した。
そんな旦那さんの泣いている姿を見て、先生も一緒に泣いた。
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多くの日本人にとってあまり馴染みのないイスラム教は、ヒジャブをつける女性の姿を見ると、「女性は抑圧されているのか」と感覚的に思う人もいるかもしれない。(何の知識もなかった私は、初めはそう思っていた)
しかし、実際に、イスラムの世界に生きる人たちには、こんな素敵なエピソードが存在していた。
もしかして、イスラム教ってすっごくロマンチックなのかもしれないと思った。