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小心地滑日記 香港旅行編 ~46歳からの海外旅行~②深水埗「新幹線の刺身」

◯月◯日。
ホテルからシャムスイポー駅に向かう。桂林街と河北街という通りがある。街というよりは英語のストリートという意味なのか?ホテル周辺は昔の秋葉原の外れの自動車やバイクの部品を売ってるような、あやしい店・工場が多く、飲食店はあまりない。

初めはつまらないと感じたが、何本か通りを抜けてシャムスイポーに向かうとあら不思議。飲食店はうじゃうじゃある。いかにも香港の楽しいカオスが顔を出す。区画が違うと全く違う顔になるのが香港のたのしさだ。

シャムスイポーは確か電気街だっけ?電気街でも秋葉原とは似ても似つかないが、特に地下鉄駅の大通りは昼まっからお祭り状態である。屋台が道のど真ん中にある。大繁盛状態であった。何を売ってるかよくわからないが、電池とかCDとかカセットテープとかまあギリギリ電気街的であとはアメ横状態である。いや、ごみ回収分別中みたいなとこもあるぞ。とにかくなんでもこいやであった。

2週間の滞在とはいえいろいろ行きたいとこがある。のんびりは見ない。しかしそそる。子供時代に失なったト〇ボーイとかトミ〇のようなミニカーとか見つかるんじゃないかと心拍数が上がるが、オクサンと歩調を合わせるため我慢する。二人団体行動しないと、何が起こるかわからん。二人は電話もないし、はぐれたらホテルに帰ればいいが、地図があっても不安は不安だ。とにかく、オクサンからは離れないようにする。

観光に話を戻す。そのお祭りみたいな狭い通路になっちゃってる場所を離れてしばらく歩くと目を疑う安さの点心を売ってる店が数店舗ある。素通りは困難。オクサンも立ち止まる。そのうちの一軒は
滞在中かなりの頻度で利用することになった。種類も小さい店にしては豊富。

中国は北は小麦文化で南は米とか聞いたことがある。確かに香港の安い飲食店はワンタンはあるが餃子があまりない。麺は貧弱というかマルタイ棒ラーメンより細い硬い麺が多く恐らく乾麺。刀削麺とか耳の形した麺とかはない。その代わりに焼き物は豊富だし南に位置しているという利点がありそうな食材がたくさん。

詳しくはおいしん◯でも読んでもらうとして、香港ならではの多彩な食の世界に期待はぱんぱんにふくらんでいた。

香港のトイレが汚いことにはもう諦めがあった。気軽に入れるトイレが少ないことがますますトイレ近い人間に不安をもたらす。それでもすぐトイレに行きたくなり、地下鉄駅前の公衆トイレに当たり前だが夫婦分かれて入る。

午前中なのになんの仕事をしてるのか不明なおじさんたちばっかり。こわい。野性が生きてる。何かされるわけでないのにこのざわざわする感じはなんだろうか。いやいやしかし、決してすべてがいやというわけでもない。何と言ったらいいか…。なんというか、自分の野性も動きだす気がしていた。

深夜の南昌駅についたときに大地からの異様なエネルギーを感じて戦慄に近い感覚がわいたが…要するに香港は土地からわき上がるエネルギーが強く、それは地球からうまれ地球由来の物質でできたこの体をゆさぶるというべきか。短めにいうと、じぶんが人間という生き物だという自覚が強まる感じか。

場外馬券売場から出てきたような気分でトイレから出た。多くの公衆トイレの掃除が水を床にまきちらして洗うせいかつるつるする。小心地滑り。安全靴持ってきたらよかったか? オクサンと合流。水圧は弱く汚かったようだ。トイレにいくたびにエネルギーを奪われる感じになるが、こうなったら香港エネルギーを奪うくらいにやけくそでたのしむことにした。

移動中にある店を発見。日本語はかなりめずらしいので、目立った。

「新幹線の刺身」

ぷっ。
魚屋だった。珍しく刺身を売っている。
血だらけの魚があったり、鮮度はちょっと心配だが、詳しく覚えてないがハタの水槽も確かあったか?それなりに高級店なのかも。

血だらけの魚を見たりしている隣のオクサンがツボに入って笑いがとまらなくなっている。「新幹線の刺身」という店名がとても面白かったそうだ。彼女は過去の人生で最も面白かったことだそうで、いつかこのギャグをこえるものを作りたいと日々面白いことを考えるようになったそうだ。

ギャグで店名考えたんじゃないだろうけど、確かに九竜半島の日本語があまりないところで見たインパクトはなかなかだった。間違ってるかもしれないが、調べたらアバディーンのほうに同名の店があったので、支店かもしれない。アバディーンは海鮮で有名だったと思う。

「刺身」の表記は「さしみ」だったか「刺し身」だったかいま確認してませんがお許しを。新幹線が当時、いけてる名称だったのかもしれない。浜松のコンコルドって名前のホテルがいけてると思ってつけてるのと同じかもしれない。

とにかく、新幹線の刺身は香港旅行のよい思い出になったのであった。

【続く】

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