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脇役ウォッチャー:マイケル・シャノンの黒い指

マイケル・シャノン。「シェイプ・オブ・ウォーター」で黒く変色し腐った指がむっちゃ怖い所長を演じた人。ヤダもうその指!腐ってんだから捨てなさい!と思ったよね。当時、この人どこかで見た気がしたけど所長役が強烈過ぎてね、あれで記憶が上書きされてしまった。調べたら「ミッドナイト・スペシャル」の主役のシングルファーザー役など結構出演作を見ていて、「ああ、あの人ね。。」。「ミッドナイト・スペシャル」は超能力を持つ息子と彼を守る父親を描いた、派手さはないがインディSFらしい人間ドラマに重点を置いた良作でしたよ。

さて、最近レンタルで「ホース・ソルジャー」を見た。対アルカイダ極秘作戦の実話ですって。実話?爆撃しすぎじゃね?馬主役じゃないし?主役のクリス・ヘムワースがヒーローなのはお約束なので置いといて、副隊長(たぶん)のマイケル・シャノンが随分と美味しい脇役だった。 活劇系エンタメのテンプレートの重要な要素に姫/ヒロイン枠がある。ヒロインは通常、美人で誘拐されたり怪我したりで窮地に陥り周りを心配させ、最後には主人公が命を賭けてヒロインを助けるのがお約束なんだけどさ、まあかつては女性がヒロインだったんだが、いまどき男も女も関係ないじゃないの?この映画、マイケル・シャノンが上記定義にぴったり当てはまる姫キャラだったのである。椎間板ヘルニア持ちの姫。美人かどうかはその人の審美眼によりますが。
髭の族長のほっぺキスを冷静に受け入れるマイケル・シャノンを見て、はっヤダあの怖い俳優の人なにこれ可愛い、どういうこと?と思ったのは私だけじゃないと思うよ。知らんけど。

マイケル・シャノン、ケンタッキー生まれ。雨風にさらされたような風貌で眼光鋭く笑っていても怖い、しかし味のある貌だ。ギャング、殺人犯、狂気の管理職、一線を越えた保安官みたいな役が似合う。もちろん「ポッタービルの奇跡」「ミッドナイト・スペシャル」の役柄のような善人役も渋めで味わい深い。←この2本はどちらも主役。主役になるとギラギラ抑え気味という脇役バイアスがここでも。

「ワールド・トレード・センター」「ノクターナル・アニマルズ」「マン・オブ・スティール」など、この人の出演作は大変多くて私も10作品くらいしか見ていないが、作品として完成度が高く特に好きなのは「シェイプ・オブ・ウォーター」と「ドリーム・ホーム」。不動産サスペンスと呼びたい「ドリーム・ホーム」は金のために人間らしさを捨てて不動産業で生きようとする青年の苦悩を描き、マイケル・シャノンはその青年のメンターとなる非情な不動産セールスマンを演じていた。だんだん本性が現れてくるところはこの人の本領発揮って感じなんだけど、見た当時は映画の面白さに気を取られ演じる俳優に注目していなかった。それだけストーリーに引き込まれる良作。「マン・オブ・スティール」も敵の将軍役で出てたのね。ヘンリー・カヴィルの立派なけつあごに気をとられっぱなしで気がつきませんでした。。

IMDBのインタビューで役柄に悪役が多いのはなぜかと聞かれて「悪役を選んでいるわけではなく、複雑な感情を持つキャラクターを演じるのが好きなだけ」みたいなことを答えていた。そもそも悪役とは「観客側・主人公側」からの観点であって俳優はその人物の思いを理解し自分なりの解釈で演じているだけなのである。ちなみにこの人「悪役」という表現が嫌いでインタビュアーにV(ヴィラン、悪役のこと)のつく単語は禁止!と言ったりしてて面白い奴っぽい。なんにせよこの先も目が離せない個性派俳優なのは間違いない。

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