生まれ変わって戻って来てくれた 白猫ルネ その8
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《 生まれ変わり 》
ルネが逝ってしまってから2カ月ほど後、
まだ私の胸にルネロス感がチクチクしている頃のこと。
チロに出産の気配がみえたので
私の部屋の隅に段ボール箱で産室を作ってやると、
間もなく4匹の子猫を産んだ。
皆白猫だったが、
その中に1匹だけ
背中にアズキ粒ほどの
薄ベージュ色の模様が付いている子が居た。
オスだった。
やがて10日余り経つと皆眼があいて、
私が箱を覗くと一斉に「シャー!」と
ちいさなピンクの口を開けて一人前に威嚇するのだが、
(猫の防衛本能)
中に1匹、あの薄ベージュの模様の子だけは
ヨロヨロとおぼつかない首を伸ばして、
まだ良く見えないような目で
懸命に私を見ようとしているように見えた。
その時は「へえ?珍しいなあ」と思っただけだった。
その1週間程後だっただろうか?
ネコちゃんたちの様子を覗いて見てから布団に入った時、
まだやっと歩けるようになったばかりだというのに
あのベージュ模様の子猫が、
どうやって箱から出たのかヨタヨタと歩いて来て
私の布団の襟元ににもぐりこんで来るではないか
(◎_◎);
え?もしかして・・・・・
お前 ・・・・ルネなの ?!
こんな小さな子猫が親から離れて
人間と一緒に寝ようとするなんて
普通だったら有り得ない。
そう言えば、ルネが亡くなっておよそ2カ月。
猫の妊娠期間はおよそ2カ月というから
チロが妊娠したのは
ちょうどルネが亡くなったその頃だった筈!
「きっとルネの魂が、
身ごもったばかりのチロの胎児に宿って
産まれて来たのに違いない」
私はそう確信した。
背中の小さなベージュ模様は
「僕はルネなんだよ」という
私へのメッセージなのかも。
「生まれ変わり」という話は良く聞くが、
それまで私は全く信じていなかった。
けれどこの時、
「生まれ変わり」を初めて実感したのだった。
「あんなに辛い苦しい体験を強いられたのに、
ルネはまた私の傍を選んで産まれて来てくれたんだ!」
(;Д;)
こんなに小さな子猫を抱いて寝た事は無かったから
脇のあたりにそっと抱いて緊張しながら寝たが、
うっかり寝がえりでもしたら
押しつぶしてしまいそうな気もするし
まだこんなチビちゃんは夜中にだっておっぱいを飲むのだろうと、
しばらくしてチロのもとに返してやる日が続いた。
おどろいた事に、
背中のベージュ模様はその後間もなく消え、
大きくなるにつれて
目の色はあのルネと同じサファイアブルーになったのだった。
(やっぱりあの小さなベージュ模様は
私へのメッセージだったのかも)
もちろん 私はこの子にまた「ルネ」と名前を付けた。
世の中に可愛いねこちゃんはいくらも居る。
山ほど居る。
はた目には「ブサイク」な猫ちゃんだって、
飼い主にとっては
みんな世界一可愛いカワイイ愛猫にちがいない。
そして私にとってはルネが、
2番目の世界一「可愛いカワイイ猫」だった。
(最初の「世界一」は勿論グリちゃん!)
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白猫ルネ その4
つ づ く
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