スタバのベンティ。
「最近は朝にスタバでアイスコーヒーのベンティ頼むことが多いかも。」
そう聞いて、あまりスターバックスになじみのない僕にとってはまず「ベンティ」という言葉が何を意味するのか理解ができなかった。
いや、そもそも「ベンティ」という言葉自体が僕の頭の中の辞書になかったから、思わず「ベ、ベン…ティ…?」と聞き返してしまったほどだった。
正直「え、弁当?」とも思ったほど全くわからなかった。
というのもコーヒーを飲むならどちらかというと庶民の味方であると思っているドトール派に属している僕にとって、スターバックスに馴染みがないのは当然のことといえるだろう。
だから、スターバックスのことを気軽にスタバなんて略すことなんて到底できない。
すでに心をすっかりドトールに捧げてしまっているドトール派なのだから仕方がないのだ。
でもね、スターバックスに全く行ったことがないわけでない。
時はさかのぼって大学時代に僕にはスターバックスは似合わないと思った出来事があった。
当時京都に住んでいた僕はその時お付き合いしていた彼女と京都駅前のスターバックスでゆっくりすることがよくあったんだけど、さすが京都だよね。
外国の方がスターバックスでコーヒーを楽しんでいる光景をよく目にすることが多かったんだ。
でもその日は出会った外国人のレベルが違った。
その外国人はシュッとした男性の方一人で来られていて、スキニージーンズにセーターのいでたち。ヘッドフォンを耳に当て、机の上にはお決まりのmacPCで映画を見ながらマグカップでスターバックスのコーヒーをいただく徹底ぶり。それを京都駅前のスターバックスで見せつけられた。
この瞬間、あぁ僕ってスターバックスには似合わないなって思ってしまって、それっきりスターバックスには好き好んで足を運ぶことはなくなった。
というわけで、スターバックスの知識なんてそもそもなかった。
話を戻して聞けば、「ベンティ」はスタバのドリンクのサイズのなかでも最上級サイズを意味するらしい。
いやいや、ドトールにもラージサイズがありましてね。と言ってみたけれど、どうやらその比じゃないらしい。
その人によると「ベンティ」を半日かけて飲むようにしているんだとか。
そして、午後に「ベンティ」を頼んだら夜までお腹ぱんぱんになるよっていう恐ろしいことも聞いた。
ここまで聞いて思った。
「ベンティ」ってとんでもないものなんだなって。
逆に気になった。
「ベンティ」を頼む人はどんな人なんだろうかって。
思えば、ドトールでもラージサイズを頼んでいる人をそこまで見たことがないし、頼んでいてもサラリーマンの男性が多かったような気がする。
まぁ、コーヒー片手に長時間パソコンをポチポチ叩くような人とかね。そんな感じだっただろうか。
でも先輩によると、東京の丸の内のOLは「ベンティ」片手に歩いてるよ、きっととのことだったので、東京で丸の内のOLをしている人、もしくはお友達にいらっしゃる方はぜひ聞いてほしい。
でもね、確かにイメージだけで想像してみると、確かに奇抜ではあるけれど丸の内のOLさんだったらやっってそうだなって少し思えた。ちなみに東京の丸の内には行ったことはない。岡山の丸の内なら行ったことはある。
ここまでくると、さすがに仕事が終わって帰っている今でも「ベンティ」のことをずっと考えてしまっていたし、ここまできたならもう頼むしかないよねって考えになってじゃあいつ頼むかって考えてみるんだけど、あと一歩勇気が出ない。
勇気が出ないのは、頼んだとして飲み切れるかっていうこともあるけれど、僕にとって久しぶりのスターバックスであるわけで気軽に「ベンティ」なんて言ってしまっていいんだろうか。そして頼まれた店員さんが、「えっ、この人今ベンティって言った?」とか、後ろに並んでいる人が「えっ、この人ベンティまじか。笑」とかいろいろ周りにどう思われるんだろうか気にしているあたりでもうスターバックスには本当に向いていないことがわかってきた。
なら、ドライブスルーすればいいんだよっていう意見もわかるけど、コーヒー飲むならやっぱり椅子に座ってお店のなかでゆっくり飲んでみたいからそれは却下。
なら、もう恥ずかしさを捨てて頼んでみるしかないと思うので、台風が来ている明日、スターバックスが開いていたら、台風のどさくさに紛れて頼んでみようかなと思う。
ほんとにどんなサイズで来るんだろうかと今は少し不安でいる。