見出し画像

【Genii 2024.1.】Armando Luceroの哲学に迫る:Genii 2024 Jan.を読んで

世界最大規模のマジック雑誌Genii Magazineの2024年1月号の感想です。
Podcast(日本語)の方では一足先にしゃべっていますので、ぜひそちらもお聞きください。(内容の重複があります)

カバーストーリーはアルマンド・ルセロ

今月のGeniiの特集は、徹底した秘密主義でアンダーグラウンドながら、多くのマジシャンから尊敬を集めるアルマンド・ルセロ(Armando Lucero)氏です。

私はルセロ氏を日本のテレビでしか見たことがありませんが、当時手品をはじめたばかりの私は衝撃が走ったのを覚えています。見様見真似でできるかなと思った自分を恥じた記憶もあります(笑)

なお、徹底した秘密主義、と書きましたが、昨今はそこまでではなく、自身のサブスクリプションサービス "Hungry Imagination"を提供するなど、ある程度彼の考えやトリックに触れやすくなっているとは思います。また、コロナ禍にスクリプト・マヌーヴァ社主催で開催されたオンラインレクチャーに参加しましたが、そのようなことをやりはじめてくださっています。

上記ウェブサイトには、彼の演技映像も(紹介パートで無料で)公開されており、はじめてルセロ氏のことを聞いた方はぜひ視聴してみてください。

ルセロ氏の魅力を私の言葉で伝えるのはなかなか難しいですが、とにかくうまい、不思議、加えてそこに哲学がある、これが魅力だと思います。今回のGeniiの特集では、そんな彼の生い立ちからマジシャンとしての経歴、哲学の一端が書かれていました。

アメリカ西海岸生まれで、縁あってLong BEach Mysticsというカリフォルニアの(当時の)若手マジシャンたちが所属するクラブで色々と学んだそうです。そこのメンバーは、Mike Caveney, Tina Lenart, Stan Allen, Todd Robinsなど、錚々たるマジシャンたちでした。Tina Lenartからパントマイム等も学んだそうで、そのスキルを活かし、ラスベガスで働いていた時代のクラウンのような格好をして仕事をするルセロ氏の写真がGenii本誌には掲載されています。この写真が個人的には現在のイメージと乖離があり、驚きました。

彼の哲学を理解するのは結構難しい

特集の中では彼のマジックに対する哲学について記述がありましたが、正直理解しきれていません。(私の英語力の問題なのか、書き手の問題なのか…)
例えば、前提として彼はこのような考え方を持っています。

In other words, he had a desire to elevate his audience’s mindset and emotions through his performances. (粗訳:パフォーマンスを通して観客の考え方や感情を高めたいという願望があった)

Genii 2024.Jan.

まぁこれはまだシンプルで良いです。しかし後半に行くに連れ、心理学の話が出てくるあたりから結構しんどい。認知心理学者ドナルド・ホフマン(Donald Hoffman)の話が出てきたあたりからは頭に「?」を持ち続けながら読みました。
ドナルド・ホフマン氏の影響を受けたそうですが、彼は以下の本を書いています(日本語訳されています)

  • 私たちが見ている世界は、いわばデスクトップ上のアイコンと同じだ。アイコンの使い方は知っていてもコンピュータの仕組みがわからないのと同じように、目で見えているものは世界そのものではない

ということがメインのテーマということはわかります。確かにこれは、手品と共通するところがありますよね。表の現象と裏の仕事は違いながらも、表の現象が現実世界で起きているわけですから、観客から見れば裏側を知らなくても現象を知覚することはできるわけです。
一応、Podcastの方で私の解釈を少しだけ話しましたが、全くもって自信がありません(笑)興味がある方は聞いてみてください。

アルマンド・ルセロ氏という、秘密の多いマジシャンについて切り込んだ記事です。ファンの方はぜひ読んでみるといいと思います!

訃報が続く…

前月号も訃報が多かったと書きましたが、今回も同様に訃報が続きます。

Any Card at Any Numberのマジックで有名で、彼の名前を冠してしまったレベルになっているDavid BerglasやLeo Behnkeなどの訃報がありました。
その他は各種コラムとかいつもの通りですが、個人的にはSilly Billy (David Kaye)のキッズマジックのコラムが面白かったです。

あと、以下のニュースについても言及がありましたねw

ということで、Genii 2024年1月号の簡単な感想でした!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?