『生殖記』朝井リョウ 感想
ほぼエッセイじゃねぇか。
タイトルの生殖記も『風と共にゆとりぬ』の肛門記からとってますよね???
読み始めてすぐ(おちょくってんな〜)とは思ったけど、エッセイだろと確信を持ったのが20ページ
倒置法使いたくなっちゃうなよ。使いたくなっちゃうなよ、倒置法をよ!!!
ていうかこの主人公、達家尚成(たつやしょうせい)、朝井ですよね。お腹弱いとかさ。設定がもう朝井としか思えないというか、朝井が思ってることを尚成兼生殖器に喋らせてるだけですよねこれ。
とかいうまぁまぁ表面的なメタ的な感想はさておき、内容の感想いきますか。
確かにね〜!!!
でっかい納得です。
全体的に、読み終わって、人間って確かにそうだね〜!という納得感がありました。
人ってわりかし無自覚で『共同体や種の拡大、発展、成長』を目指しているよね〜。
言われてみれば、産まれた瞬間から死ぬそのときまで、我々は次のことを考えさせられているよな。次世代のことをさ。未来のことを、否応にも考えさせられているよな。
私が最近とっている立場は「とはいえ人は生きていくしいずれ死ぬので……」なので朝井的には正解なのかな!?どうかな!?
拡大、発展、成長なんか目指さなくても人間って生きていけるしどうあがいても寿命はくるよね〜〜〜!!!
……
結局生きる/死ぬんだったらさぁ、つまり人生とは死ぬまでの暇つぶしでしかないんだったらさぁ、決められたことをやっているほうが、幸せではあるんじゃね?と思ってしまう部分もあるよな。
人間がほんとうの意味で''自由''を手に入れたとして、なにしたらいいか分かんないと思うんだよ。やっぱり遅かれ早かれ自動的に発展を目指してしまうというか、目指すものがないと生きてる意味ないというか。
繁殖以外の生きてる理由を見出そうとしてしまうくらい賢い生命体、人間
で、まぁ、繁殖できない同性愛者の尚成目線で語られるわけだけど。
でもさぁキャベツが500円の時代に子供を産もうと思うほうが虐待だと思うけどね?もはや子供を産むことがエゴでしかないと思うけどね私は。
私は自分のまだ見ぬ子供を愛しているから世に産み落とさないんですよ。ねぇ?反出生主義者のかたは分かると思いますけど、だぁって自分がこんなにつらい思いしてるのに、子供にもおんなじ思いさせられないですよねぇ?
関係ないと思った?そもそも私の感想なんてあなたの人生にはなんの関係もないしこの感想であなたが死ぬことないので落ち着いてくださいね。
こういった冷静さを朝井は与えてくれるよな〜
ていうかなんか途中『正欲』の続きみたいな部分なかった?というかもう朝井が書きたいことってこれなんだろうなぁと思ったよ。
世に対して「いやいやそこまで発展目指さなくても……」と思ってて、この持続可能な社会!キラキラ!ムーブがちょっとでも収まってほしいんだろうな……と。
でもそういう人たちほど朝井の本読まねぇし、読んだとて朝井の言いたいことなんてこれっぽっちも分かろうとはしないんだろうな、と思う……。私は分かるけど
生産的な人間……のくだりなんかは、人によっちゃあ優しさにも捉えられるかなぁと思った。
あこっちじゃねぇや。これは氷河期グルメおもろwと思って撮ったやつだ
これって「悲しむ人がいるから死んだらダメだ」↔「悲しむ人がいなかったら死んでもいいんですか?」みたいなことだなと思う。
生産性がなかったら世に関わってはいけないのですか?キラキラ人間はそっちの立場から、こっちに関わらせてあげているんだろうけど、その暴力性には無自覚で、いつだって自分が世界を選ぶ側だと思ってるんだよな。
だからまぁ、朝井は生産性があろうがなかろうが人間は勝手に生きていくと言ってるわけだし、実際生産性のない人間からしたら、救いみたいなもんだろうな、とは思った。
でもなんだかんだ、尚成も人の役に立ちたいと思ってるんかなぁ。てか普通に続き気になるんだよな。なんちゅーとこで終わってんだよ。あとなんで「達家くんってゲイなの?」という質問を神回避してるんだよ、そう聞かれると決まってたわけではないけどさ(特に岸からの質問は)。
なんっかな〜そうやって30年かけて諦めてきたんなら、ずっと諦めたままでいろよ〜〜〜と思ってしまうんだけど、同じような人がいると救われたような気になって、自分もひとを幸せにできるかも、と思ったら踏み出したくなっちゃうのがいかにも人間っぽいな〜と思った。
人間っぽくていいな〜と、思ってしまったな。
結局人間の泥臭さとか意地汚い感じとか逆に純粋で真っ直ぐな光って、輝いて見えちゃうんだよなぁ。
私はひねくれてるから、尚更真っ直ぐな人間が羨ましくて、私もこれになれないかなとか思っちゃうもんね。今だ諦めきれず、って感じよ。
でもまぁ変わっていくのも人間だからね。変わりたいと思うのもいいんじゃないの?
総括
人間は共同体や種の拡大、発展、成長を目指して生きている、ということを自覚したうえで、それで私はなにが好きでなにがしたいの?を大事に生きていったらいいんじゃないかなぁ。
結局そのうち死ぬんだし、人生は死ぬまでの暇つぶしなので(死ぬまでの暇つぶしでここまで序列や秩序を決定できたのはすごい)、やりたいことやったもんがち……青春なら……と思います。
朝井は小説書くことをやめないでくれ、!!!!!!!!!!