さみどりの風

【詩】

広大な草原にたたずむ、二人のシルエット

さみどりの風が吹き

   クサタヲ
      クサタヲ

私の声は溶けて消えて

 クサタヲ
    クサタヲ
            クサタヲ

君の長い黒い髪もなびき

      クサタヲ
  クサタヲ
           クサタヲ

さみどりの風は止まることを知らず

永遠の時間が水流のごとく吹き続け

ついに風の一部となる

それでも君はそこにたたずんでいた


〈参考短歌〉

歌人・永井陽子

「さみどりの風がクサタヲクサタヲと吹く日になれば歩まむ母も」

永井陽子の短歌を引用し、新たに詩を作りました。永井陽子が想像した世界とはかなりかけ離れていますが、あくまで参考程度にしただけなので、私のオリジナル作品として投稿します。
実際にそう聞こえたのかどうかは分かりませんが、彼女は風の音を「クサタヲ」という擬音語で表現しています。広大な草原に風が吹き、束になって草が揺れている様子を想像し、このような形で表現してみました。目を閉じて耳を澄ましてみると、「クサタヲクサタヲ…」という風の音が聞こえてくるような気がしませんか。


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