泡子とタネ美の女子会トーク
泡子(以下「あ」)
「あ~らぁ?今日もまたあーただけなの?
もーシケてんじゃないわよー」
タネ美(以下「タ」)
「ちょっと姐さん、いきなりそれ?
あたし湿気てなんかないんだけど。
サックサクよ、失礼しちゃう~」
あ「違うわよ、そういうことじゃなくて
あたしはやっぱりほら、
肉々しい感じとか好きじゃない?」
タ「あー、マッチョ系ね~」
あ「そ、やっぱり油したたるカンジ、とかで
行きたいじゃない
あーあ、夏のBBQ、楽しかったな~」
タ「野外はいいわねえ、私はやっぱり海かなー」
あ「あーた、野外にお呼びじゃないでしょ」
タ「やっだ、あたしも海、一緒に行ったじゃないの
河辺りのキャンプのときも」
あ「あらそうだっけ?」
タ「まあでも結局、袋を開けたはいいけど
紙皿にバラまかれたまま、小一時間放置よ
誰もつまもうとしないまま
ベッタベタでさんざんよ」
あ「そりゃそーでしょ、あーたがいなくても
ジューシーな主役揃いだもん。」
タ「長期保存タイプのあたしと
無駄な比較しないでくれる?
いつでもどこでもって、
潰しが効くのがあたしの売りだから」
あ「確かにね~、あーたって
そういうちゃっかりしたとこあんのよね。
どこだって、たいてい誰かに
連れて来てもらってるしねー」
タ「そうなのよ、すき間産業的に
なんだかんだで愛されて100年だもの。」
あ「え?あーたって
この業界、そんな長いんだっけ?」
タ「そーよぉ、
あたしこう見えても
大正時代からやらして頂いてま~す♪」
あ「あ、知ってる。
せんべい屋の奥さんがあーたの金型踏んづけて
たまたま出来ちゃったんでしょ?
タ「ちょっと~、出来婚みたいに言うけどさ
そのおかげで今こうして
姐さんといえばあたし、みたいに
誰もが認める看板張れてるわけよ。」
あ「そぉねえ、あの当時はまだ
あたしたちがベストコンビになるなんて
誰も予想してなかったでしょうね~」
タ「そうよ、金型へしゃげて結果オーライよ。
そういう姐さんだって
たいがいの古参でしょ?」
あ「あたし?
あたしは…紀元前よ」
タ「バケモンじゃないの」
あ「バケモンってヒドイじゃないの
あーただって遡れば
聖徳太子辺りもご贔屓さんじゃない?」
タ「ああ、本家はね~。」
あ「じゃ、あたしとそんな変わんないじゃない
あたしだって日本上陸は明治だし。」
タ「まあ、そーね~
だからそろそろあたし、
イメチェンもいいかなあ…
なんて思ったりしてるのよね」
あ「イメチェン?
さんざんやってんじゃないの、
チョココーティングしたりとか」
タ「それでもしょせん乾物系じゃないの。
『なんだ、乾きもんしかないのかよ』とか
さんざん言われて
なんかうんざりしちゃってー」
あ「いいじゃないの、
潰しが効くって自分でゆってんじゃん」
タ「ん~、そうなんだけどぉ
やっぱ水分に憧れるっていうか、
保湿したいのよねん」
あ「あーたが水分含んだら台無しじゃない」
タ「出来上がった状態でふやかさないでよ
気持ち悪いじゃないのー」
あ「どうすんのよ?」
タ「最近ほらみんな色々やってんじゃない。
バームクーヘンでも”生バーム”とかぁ
オシャレな感じっていうか~」
あ「本家に”ぬれ”系いるじゃない」
タ「”ぬれ”はイヤなの、
”生”になりたいのよ」
あ「何が違うのよ、一緒じゃない。
あーたみたいなチビが”ぬれ”でも”生”でも
くっつきあってめんど臭いだけよ」
タ「そーかな~…」
あ「そうよ、あーたは
あーたのままでいいのよぉ
はい!あーたが、口の中の水分
奪ってから~の?」
タ「姐さんがガッと一気に流し込む」
あ「ぐっじょーぶ!
定番って冠はなかなか獲れないものよ」
タ「さすが姐さん、いいこと言うわ~!
…って、
よく見たら姐さん、発泡酒じゃん」
あ「だったらなんなのよ」
タ「やだ~もーシケてるー」
あ「おだまり!
乾きもんのあーたが言うんじゃないわよっ!」