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趣味の小説を書く時に読んだ本たち
趣味で二次創作小説を書いています。
一万文字に満たない掌編をメインに。
そんな私が読んだり使用している本とツールのご紹介。
一番好きな短編小説
・『刺青』(谷崎潤一郎)
青空文庫で読めます。
非常に短い作品だけれど、その中に緩急落すべてが詰まっています。
構成論
・黒部ポルカ氏の著書全編
30000文字越えの話のプロット構成は、こちらの方の著書を参考にしています。
どれも読みやすくて実戦的です。
小説の書き方論
・「物語」の魅せ方入門 9つのレシピ(円山夢久)
初心者向けで読みやすい。
同作者のシリーズ含めて、初めて小説を書くよ~という人にお勧め。
ある程度書ける人には初歩的過ぎるかも。
・文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室(アーシュラ・K・ル=グウィン)
読んでる途中。
海外の作家による技巧書を翻訳したもののため完全に日本語小説に適応できるかと言われれば否であるが、私にとっては救いのような本でした。
私の文体、こんなんだけど、いいのかな。
そういう不安を吹き飛ばしてくれる本です。おすすめ。
・シナリオ・センター式 物語のつくり方(新井一樹)
買ったけどまだ読んでいない。
・文章読本(谷崎潤一郎)
買ったけどまだ読んでいない。
表現技巧
・文章を彩る 表現技法の辞典(中村 明)
修辞法やレトリックについて、例文を用いて解説されている。
テクニックごとに章分けされていて読みやすかったです。
表現技巧の本も色々読んだけれど、この本が一番自分には合っていました。
・レトリックのすすめ(野内 良三)
読んでる途中。
割と読みやすい。
個人的には『文章を彩る 表現技法の辞典』の方が好みですが、本当に個人の好みで、著者との相性とかそういう問題だと思います。
・レトリック感覚
買ったけどまだ読んでいない。
文字が小さいので読む前から怖気づいています。
辞典
・新明解類語辞典(中村 明)
色々買ったけど、この本一冊あれば十分だったな……と思える一冊。
自分はとりあえず赴くままに文を書いて、推敲段階で同じ単語が連続しているのを修正していくスタイルです。
この本を購入してからその作業スピードが飛躍的に上昇。
現在はまずこの本で類語を引いてから、満足がいかなければ他の辞典も引くという方法を取っています。
・てにをは辞典(小内 一)
めっちゃ使いそう!!と思って買ったけど、未だに使いこなせていない。
ので購入優先順位は低めかなと思いますが、たまに凄く役に立つ。
言葉の繋がり(コロケーション)の本だけど、この単語ってこの表現に繋がるんだ~というのが読み物として面白い。
・学研のことば選びシリーズ
類語辞典で納得のいく言葉が見つからなかった時に使用しています。
なんかアイデア浮かばないかな~とペラペラ眺めるのにも丁度いい。
同シリーズ内で特にお気に入りなのが『美しい日本語選び辞典』。
この手の辞典は熟語の羅列が多いけれど、『美しい日本語選び辞典』はそうじゃない。
やわらかくてちょっと古めかしい、そういう表現がたくさん載っています。
五十音順で掲載されているのがちょっと分かりづらいかも。
・感情類語辞典[増補改訂版]
電子書籍版を買ったけど、紙で買えば良かったなと後悔している。
名前の通り感情ごとに分類分けされた辞典で、自分にない引き出しとして役に立ちます。
とりあえずこれ一冊あれば便利なんじゃない、という一冊。
・俳優・創作者のための動作表現類語辞典
絶妙に扱いづらい気がする。
これも電子書籍版で買ってしまい、紙で買えば良かったなと以下略。
・ささる引用フレーズ辞典(堀越 英美)
辞典というか、教養本というか。
サビのような一節をひたすら引用してくれているので、脳の刺激に良い。
ツール
・Nola
執筆時に使用。
小説を書くのに必要な機能がたくさん備えられているエディタ。
ブラウザ版とアプリ版があります。
同期してくれるので、出先はスマホ・家ではPCと使い分けられる。
無料版とサブスク版があります。
・novel_supporter
推敲時に使用。
めちゃくちゃ便利です。
推敲スピードが格段に上がるので非常におすすめ。
・ChatGPT
ネタ出しに使用。
今までは三題噺やランダムお題などを眺めて頭を捻っていたけれど、ChatGPTを上手いこと使えばその時間を短縮できる……かもしれない。
書きたい雰囲気やテーマを放り投げるだけで色々提案してくれるので、要素をつまんだり回答を見て新たに思いついた内容を更に膨らませたりとかなり便利。
現在はGPT-4が無料で使用できる段階だけれど、驚くほどに賢い。
その上アカウント登録をしていると過去ログを参照するみたいで、どんどん自分のヘキがバレて自分好みのネタを吐き出すようになる。
著作権には細心の注意を払いつつ、ネタ出しの相棒として有効活用できれば心強い。
番外編 二次創作小説の構成について
なぜあなたは二次創作小説を書くのでしょう。
私は”自分が読みたい”から。
どんなに稚拙だろうと、形にして世に出してしまえばこっちのもん。
自分の読みたいものを、自分で書く。
……と頭ではわかっていても、さあでは書きましょう! で書けるもんでもないのが小説。
何も考えずに書き散らしても、なんか、なんか……しっくりこない。
どこで終わらせればいいんだ? なんだこれ、時間の無駄? などと嘆き、エターナった小説もどきは星の数。
そういう時に役に立つのがプロットです。
あなたがプロット無しでお話を書けるタイプであれば、この話に意味はありません。
でもプロットを立てたことが無い状態で「お話を完結させられない……」という方には、もしかしたらプロットは強い味方となるかもしれません。
いわゆる起承転結、序破急というやつです。
「なんかしっくりこない」のは、転結の弱さに起因することが多いです。
ですので転結だけでもしっかり決めておくと、最後まで書ききることは出来るようになるんじゃあないでしょうか。(もしくは、何を書きたいのかがふわふわしていて読者にもそれが伝わってしまっているパターン)
でも、まあ。
短い二次創作小説を書くのにあたって、毎回起承転結を求めるのは重たいですよね。
そこで私が使用しているのが「緩急落」です。
物語に緩急をつけて、最後はしっかり落とす。
二次創作小説って、私は「Aに○○するBが見たい!」のような、絶対に書きたいシーンを決めてから書くことが多いです。
このシーンを「急」もしくは「落」と位置付けて、そこから逆算して肉を付けていく。
文章力の高い人であればだらだらとぬるま湯のような一幕を描くだけでも引き込まれてしまうけれど、そのレベルの文章を書ける人って趣味小説だと稀ですよね。
その足りない文章力を埋めるのが構成です。
ゆるい日常の一幕の後に、何かがきっかけで感情のメーターが大きく動く事件が起こる。
その結果どうなったのか。(このオチに当たる部分は、小説のテーマを設定しておくと格段に作りやすくなります)
最低限この三要素を含めれば、3000文字未満のスーパーショートショートでも形になります。
小説がつまらなくなる原因の一端として、不要な表現が多いということもよく挙げられます。
起承転結の起承がだらだらし過ぎて、書く方も読む方も目的のシーンにたどり着く前に息切れしてしまうんですね。
だったら、転結からスタートさせてしまえばいいんですよ。
といってもいきなり転から書き始めるのは不可能ですから、最低限の前置きをつける――それでできるのが「緩急落」の形です。
この論は長めのしっかりした小説には使えません。
長いお話を書くのなら、しっかりとミッドポイントを決めて、起承転結を練り、表テーマと裏テーマを持たせ、etc…中々大変です。
けれど、サクッと短いお話で自分の萌えってやつを形にしたいんだ、という時に「緩急落」は有用かと思います。
さあ、そこの読み専のキミ。
キミにも「こんな二人が見たいなあ」といったシーンのひとつやふたつ、あるでしょう。
書こ。
んで、投稿しよ。
頼んだで。