ブルーチェリー
きみを家まで送って
またねと手を振る
今この瞬間を
また会う時につなげてしまいたい
長い夜や
退屈な授業を切り捨てて
約束の時間まで
ワープ出来たらな
向かいの席で
レモンタルトに夢中なきみ
置き去りにされてても
嬉しそうな顔が嬉しい
お子様の恋じゃんって
笑う奴らはほっとく
手をつなごうとしてやめる
このきゅんはわかるまい
図書館で並んで広げた
キリストを抱くマリア
見返りを求めない
澄んだ澄んだ愛
わかる気がすると
きみは瞳を潤ませた
きみを傷つけないですむには
先に大人にならなきゃな
そう心に決めるのに
顔を上げるときみが
慈悲深く微笑んでたりする
まずいな
女になんて
敵わないんじゃないか?
悩みながら歩く商店街
軒先できみがねだったチェリー
真っ赤に熟れていたのに
青い青い味がした
はしゃいだ声で
きみが美味しいと笑って
もう一つくれたチェリーも
やっぱり青い味がした
不意に触れた指先を
思い切ってつないだ
陽に透かしたチェリー
並んだふたりの影
青い夏だからまだいいや
ちょっと上ずった声に
気づかないふりのきみに
やっぱりちょっと敵わないんだ
青い夏のブルーチェリー
想い出に刻んだ
ERICA