にじむ世界で
間に合わなかった
今日までに
心を定めるはずだったのに
まだ胸に きみが棲んでいて
あの日のように笑うから
行先を見失ってる
さようならとは言えなくても
ありがとうとは言いたかった
舞い散る雪の華のように
優しい想い出だけが輝く
つらいことも
悲しいことも
数えきれないくらいあったのに
いつの間にか
許してしまっている
どこかでいつか
道は分かれる
出来ていたはずの覚悟は
盾にはならなかった
拭う前に溢れていった
涙を惜しんでも
強がっているだけの
わたしは隠せない
最後に見たきみの
白いのどを思い出す
凍りついた視線では
きみの顔までは見えなかった
別れは猶予されていただけで
愛情で消せるものではないと
いつからか気づいてたのに
奇跡みたいなものを信じてた
次の世界では お願い
わたしを見つけないで
他の誰かとの終わりなら
わたしは耐えられるはず
こんな痛みを与えられるのは
きみだけだから
きみだけだから
時が刻まれていく
この悲しみを越えたら
どんな風景を見るのだろう
憎くて 愛しい
きみのいない世界
生まれたての仔馬のような
ひどく頼りない両足を励まして
ここからまた 歩いてく
ふさがらない傷口がうずいて
笑えない時があっても
ありがとうと きみには言うよ
ありがとうと きみには言いたいよ
二度と出会えないきみだから
哀しいひとり言でしかないけれど
ありがとうと 今日もつぶやくよ
ERICA