solo

偉い誰かが眉をしかめても
わたしはやめない
血のにじむ足に力をこめて
魂を絞りながらうたうの
表現しなければ生きられない　
そんな生命もあるとわかって

激しく燃えながら落ちていく光
叫ぶ前に消える命
震える子犬
砕け散る煉瓦
一陣の風

憎しみは何も産まない
削れていく大地に
転がった薬莢
すべてを消し去って
砂埃の中で笑っても
本当の未来は来ない

盗んできた固いパンのかけら
分け合って今をつないだ
あの子はこの世界から消えた
朝露より儚く消えた

許さなくても時は戻らないから
わたしは貴方を許すと言うけど
背を向けて歩き出すわたしの瞳に
赫い涙が溢れるのがわかる？

肩を寄せ合って
ようやくひとつになって
生きていくわたしたち
楽しいことはほとんどなくても
無理に笑えば見える明日もある

争いは膨れ上がって
いつか弾けて傷をつけるから
少しだけ目を閉じて
出口が見えるまで待って
失うのは一瞬のこと
だけど生涯の痛みになるの
奪う者にならないで
大切なぬくもりの火を消さないで

地面に祈りの言葉を書いて
わたしは今日もうたう
こどもたちが笑い
木漏れ日が優しい
光ある日を求めて
わたしはのどを枯らす
こんな祈りはいらなくなって
わたしを残してみんなは去りゆく
幸せのある場所を知り
昨日を忘れて許し合う
そんな日が来ると信じて

最後のひとりになるまで
折れそうなのどを励まして
乾いた風に向かい
わたしはうたう
生きていくわたしたちは
当然に幸せでいいと
祝福され生まれた
その生命はみな尊いと

ひとりになろうと
今は届かなくても
うたい続けるの

たったひとつの
この生命を燃やしても


ERICA