月の祈り
ぼくの影を そう
踏まないように ついて来る
きみはまるで 幼い野良猫
誰がきみを捨てたの
手を伸ばして 抱き寄せたら
心地悪そうに 首を振る
誰のものでもない誇りが
きみをいつも哀しく見せる
おいで怖がらないで
傷つきすぎたきみを
癒したいだけだから
都会の隙間は寒いだろう
何もない空間を
じっと見つめるきみの
涙はいつ枯れたの
震える月が
きみの代わりに雫を落とす
コートにくるんで
このまま連れ去ろう
温かい食事を作るよ
狭い部屋でも構わないかい
ふたりになれなくて
ひとりとひとり
それでも身体を寄せ合えば
吐息が明日を見つけるだろう
愛と言えるほど
きみをわかっちゃいない
恋と呼べるほど
頬は染まっていない
それでも触れた指先から
伝わってくるぬくもりを
消したくはない感情に
少しの嘘もないから
せめて朝陽がのぼるまで
そばにいて 心をほどいて
明日からまたこの街で
生き抜く強さが満ちるまで
抱きしめて
髪を撫でて
痛みから逃れて
しあわせになることを
諦めないふたりになろう
きみのために祈らせて
真実の愛が
いつかきみを照らすようにと
迷うのはもうやめて
一心に求める
運命の愛をどうかきみに
よろこびの涙で
きみの瞳が潤みますように
ERICA