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マガジンX 2024年9月号『ざ・総括。』スズキ・スーパーキャリイ

オススメ度 ★★★★☆

軽トラを新スポーツカーに

軽トラックの運転台(キャビン)を少しだけ広くした仕様は、スズキ・スーパーキャリイとダイハツ・ハイゼットトラックジャンボ/ジャンボエクストラだけだ。運転席と助手席のシート後方にキャビンを広げ、シート背もたれのリクライニングを可能にし、少々の手荷物なら収容できるスペースを設けた仕様だ。これが結構使える。丈夫なラダーフレームとシンプルなサスペンションで走りも上々。「クルマの運転を練習するなら、軽くて小さくて非力な軽トラがいちばんいい」と本誌評価陣は言う。

●評価(★)の見かた●
★☆☆☆☆=まったく買うに値しない
★★☆☆☆=ちょっと考えたほうがいい
★★★☆☆=一応オススメできる標準作
★★★★☆=積極的に買いの秀作
★★★★★=買わなきゃ損する超逸品

<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通

少しだけれど余裕あり

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) ひさびさの軽トラ試乗だ。今回はスズキ・スーパーキャリイと、一部の人にはダイハツ・ハイゼットトラックにも乗ってもらった。4年前にRR(リアエンジン・リアドライブ)最後のスバル・サンバートラックや、スズキが日産向けに供給するクリッパーに乗ってもらって以来の軽トラ試乗だ。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) みなさんに乗ってもらったのは4WD/5MT仕様で車両価格は約167万円。ちなみにウチのショップの配達車だ。いろいろ取り付ける前だが「慣らし」はほぼ終わっていて、走行距離は約3000㎞。ハイゼットトラックジャンボエクストラのほうは4WDのCVT車で、車両価格は約145万円。ウチと取り引きをしてくれている業販店さんのクルマだ。たまたま事情通さんがウチへ来たときにクルマがあったので乗ってもらった。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 軽自動車は寸法要件が決まっているから、商品性での差別化はもうほとんど難しいと聞いています。結局「大は小を兼ねる」で、寸法規格の目一杯のサイズでしか、どのOEM(自動車メーカー)も商品を作りません。目一杯まで使わなかったクルマは、結局数が売れずに消えました。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) 軽トラはスズキとダイハツばかりになったから、ホンダはアクティ・トラックをやめちゃったのだろうね。生産台数が少なくなると利益は出ない。
自動車業界の事情通(以下=通) たしか軽トラは、農家の出荷用コンテナで54個、ビールケースは60個積めないとダメらしい。軽トラの荷台寸法はどのOEMでも同じだ。おそらく目一杯積む日は年間を通してもそう多くはないはずだが、積みたいときに積めないとダメなわけだ。

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