アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供するメディアです。
専門書を読み進める前段階の予習であったり、自分自身のトレーニングや周りの人へのアドバイスの参考になればと幸いですが、このメディアは学びの第一歩を踏み出すだけですから、記事の内容が理解できたからと言って、運動指導者として活躍できるわけではありません。
しかし、活躍できる運動指導者はこのメディアの内容は理解できていて当然、ということになります。
フォームが大切
筋トレにしても、スポーツの動作にしても、フォームというのは非常に大切です。
フォームというのは、動き始めてから動き終わるまでの一連の動作のことを言います。
よく、「フォームを見てください」と言って、静止画を送ってくる人がいますが、それはフォームを切り取ったものであって、フォームそのものではありません。
これは、運動指導者も犯しがちな過ちなのですが、例えば、スクワットのボトムポジション(一番しゃがんでいるところ)の姿勢が綺麗だったとしても、そこに行きつくまでのプロセスがハチャメチャでは意味がありませんし、立ち上がっていくプロセスがハチャメチャでもよろしくありませんね。
フォームというのはとても大切ですが、そのフォームというのは一連の流れであることを、しっかりと頭に入れておいてください。
神経がカギになる
筋は脳からの指令で動きます。
この指令を伝達しているのが、運動神経です。
よく、「あいつは運動神経がない」なんていうことをいう人がいますが、運動神経がなければ、人は生きていけません。
正しい表現に言い換えるとすれば、「あいつは神経と筋の連動が上手くいっていない」ということになります。
そんなことをいう人はいないでしょうが、運動指導者になるのであれば、運動神経という言葉が専門用語であることを知っておきましょう。
自分が思うがままに身体を動かせる人は、恐らくある程度パフォーマンスが高い人でしょう。
トップアスリートはこの類の人も多いと思いますが、中には地味なドリル練習などを幾度となく繰り返して、身体を操れるようになった人もいます。
正しく積み重ねる事が出来れば、誰でもある程度の領域までは到達する事が出来ます。
特に、一般の方向けのエクササイズであれば、難易度がそれほど高くないものも多いですから、「運動神経がない」なんて言われてきた人も、丁寧に積み重ねていけば必ず上手にできるようになります。
ちなみに、私が普段指導しているお客様の殆どは、こうして積み重ねておられますし、皆さまエクササイズのフォームがとても綺麗になっていかれます。
神経筋促通
この、神経と筋の連動を高めていく作業を、「神経筋促通(しんけいきんそくつう)」と呼びます。
単純に「促通」とか「神経回路の構築」といった表現をされる場合もあります。
正しいフォームを習得することが、パフォーマンスアップの基本です。
これはアスリートだろうと一般人だろうと同じですから、運動指導の際に最も留意すべきことは、正しいフォームで実施できているかどうかを見極めることだと言えるでしょう。
どれだけ重たい重量を担いでいても、狙っている動きと異なれば、狙っている効果と異なる結果を得てしまいますし、故障のリスクが高まります。
クセを修正するのは大変
アスリートの様に、既にある程度のトレーニング経験があると、そのクセを修正することは容易ではありません。
"いいクセ"であればそれは何の問題もないのですが、"悪いクセ"であればそれはパフォーマンスアップを阻害している可能性が高いのですから、修正する必要があります。
しかし、全く何も知らない人に"イチから"フォームを教えるのと、クセのある人にフォームを教える場合、そのフォームを獲得する為に必要な時間(反復回数)は10倍も違うと言われています。
叶う事ならば、私はまっさらな人をチョイスしたいと思います。笑
というのは冗談ですが、それだけ変なフォームをクセづけてしまうと、後々厄介だということです。
全か無かの法則
「お尻の筋肉を意識してください。特に動かせというわけではありません。とにかく、お尻の筋肉を意識してください。」
こう言われて、今あなたはお尻の筋肉を意識したと思います。(していないならしてください)
この時、動かせとは言っていませんから、特に動きに変化は見られないと思いますが、それでも意識した筋は顕微鏡レベルではもう活動を始めていると言われています。
それから、今お尻の筋肉を意識したことで、恐らく肩のことは何も考えなかったと思います。(と信じています)
何も考えていない部位は、顕微鏡レベルでも活動していません。
このように、意識した筋は活動し、意識しなかった筋は活動しなかった現象を、「全か無かの法則」と呼びます。
「All or Nothing」ということですね。
これは、例えばフォーム修正などをする際に、積極的に活動してほしい筋には意識を向けるべきであるということなのですが、もうひとつ大切な意味合いがあります。
それは、不適切な活動をしている部位を意識させてはいけないということです。
意識すれば活動してしまうのですから、力を抜いて欲しい部位や、過緊張している部位のことは考えてはいけないのです。
時と場合によりますが、ゆっくり伸ばすストレッチの時などは、活動させると本来のストレッチがかかりませんから、何も考えないようにさせるか、全く別のことを考えさせるとよいです。
よく、ストレッチの時に「はい息を吐いてー」なんて言いますが、あれは息を吐くことにもある程度意味はありますが、それよりも息を吐くことに集中することに意味があります。
そうすることで、伸ばしたい筋から意識を外す事が出来るのです。
まとめ
今回の記事では、運動指導をする際に重要となる、神経と筋のお話でした。
もし今フォーム修正に取り組んでいる方がおられましたら、ぜひ参考にしてください。
何より大切なことは、まず正しい動きを知ることです。
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