立ち方について
アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供しているメディアです。
今回はいつもと少し視点を変えて、「立ち方」について考えていきます。
何故「立ち方」を学ぶのか
運動指導者であれば、必ず1度は「立ち方」について学びます。
これは、人間が二足歩行で活動する生物ですから当然のことです。
人類は四足歩行から二足歩行へと進化を遂げ、その結果手の自由を手に入れたと言われています。
まさに人の手によって世の中はすさまじい勢いで革新を続けているのですが、その代償として非常に不安定な状況に置かれるようになります。
テーブルやいすは基本的に4本脚ですが、これが2本脚になったらどうなるでしょうか?
絶妙なバランスで脚を配置しないと上手くバランスが取れないことが分かります。
テーブルやいすとは異なる状況であることは間違いありませんが、人間の体はこの様に絶妙なバランスの上に成り立ちます。
この状況で歩いたり、走ったり、跳んだり、場合によっては道具を使うのですから、基本を分かっておかねば、適切な運動指導はできません。
矢状面での正しい「立ち方」
矢状面(しじょうめん)とは、人間の体を真横から見た時の面を言います。
この時、人間の「立ち方」はどうなっているでしょうか?
右から見ても左から見ても、どちらでもかまいません。
まず地面と接している足部があります。
足には「くるぶし」と言われる部位がありますが、そこがポイントとなります。
このくるぶしから、真っすぐすねの骨が伸びて、膝に達します。
膝の上には大腿骨があって、骨盤で股関節を構成します。
股関節の指標となるのは、大転子と呼ばれる部位です。
骨盤の上には、脊柱が伸びていますが、脊柱は自然なS字曲線を描いています。
ポイントとして分かりやすいのは、肩です。
肩峰と呼ばれる肩甲骨のポジションを通って、その上に耳が来ます。
ここまでの一連の流れをもう一度見ると、くるぶし、膝、股関節(大転子)、肩峰、耳を通るラインが一直線になることが分かります。
これが矢状面で見た時の、基本的な「立ち方」です。
現代人は猫背だったり、スマホを触りすぎて頭が前に出ている人が多く、この直線が崩れている可能性は高いですから、まずはこのラインを理解しておくとよいでしょう。
前額面で見た時の「立ち方」
前額面は、人間の体を前方もしくは後方から見た面です。
要は正面か、真後ろから見れば、前額面で人を見ていることになります。
この時は、脚が2本ありますので矢状面よりも見なければならないラインが増えますが、考え方は同じで、直線をどう作るか、です。
つま先は正面からやや外に向きますが、これは人によって少々異なります。
大切なことは両足の幅です。
基本的な「立ち方」という考え方をしてみると、足幅は股関節の幅となります。
目安はコブシ1つ分です。
思ったよりも狭いかも知れませんが、スポーツの構えとは少し異なる点は理解しておきましょう。(スポーツの場合は種目によって理想的な構えが異なります)
肩幅や顔の大きさは人によって異なりますから、上半身のラインを見てもよく分からないでしょう。
ですので、まずはこの足幅を理解をしておくとよいでしょう。
その「立ち方」が自然かどうか
「立ち方」を確認する時、最も大切なことは、その姿勢に不自然さがないかどうかです。
どこか力んでいるとか、苦しそうな雰囲気があれば、それは理想的な「立ち方」とは言えないでしょう。
これは今後見ていく「動き方」にも通ずる考え方ですが、無理なる動きは理想的ではありませんね。
トップアスリートやトップモデルの動きは自然体で流れるようで美しいものです。
その動きの始まりとなる、「立ち方」に美しさ、自然な感じ、といった雰囲気が必要なのは言うまでもありません。
運動指導者として、エクササイズの手法を知っておくことは重要ですが、人間が二足歩行で活動する動物であるという「基本」を考えれば、それよりも重要なことが「立ち方」の指導、あるいはその前段階の「座り方」の指導、もっと言えば、自然と寝転がれる姿勢が取れる為の指導であるということを、頭に入れておきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?