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アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供しているメディアです。

以前、トレーニングの原理原則についての記事を書きました。

今回からは3つの原理と5つの原則について、もう少し掘り下げる記事を書いていきます。

初回はトレーニングの原理から、過負荷の原理について取り上げます。


過負荷とは

過負荷は英語でオーバーロードと言いますが、いずれにしても負荷(ロード)は日常よりも強くなければトレーニング効果が得られないと言うような意味になります。

例えばベンチプレスが100kg挙上できる人が、それを超える重量を目指すとして、20kgのバーベルだけでベンチプレスをしまくっても、目的である100kgを超える重量が挙上できるようにはなりません。

最大挙上重量(この場合は100kg)の何パーセントで、どれだけの回数をどれだけのセット数行うのかは難しいところですが、この領域になってくるとやはりそれなりに重たい重量で(すなわち過負荷)トレーニングをしないといけないということになります。


そんなに「過負荷」する?

先ほどのベンチプレスの例は話としては非常に分かりやすいものですし、だいたいこんな調子で過負荷の原理が解説されることが多いです。

しかし、ベンチプレス100kgを挙上できるという時点で、かなりのトレーニング上級者です。

トレーニング上級者やアスリートが感じている過負荷というのは、相当な過負荷です。

アスリート経験者がトレーニング指導をする際に注意が必要なのは、この感覚が一般人のそれと大きく乖離していると言う点です。

確かにトレーニングの原理として過負荷という話が存在するので、負荷は掛けなければなりませんが、その負荷の掛け具合には慎重になるべきです。

何故ならそこには、原理だけでなく原則が存在するからです。


トレーニングの原則にも照らして考える

トレーニングの原則の中に、漸進性の原則というのがありました。

これは負荷は少しずつ増やしていきましょうという意味です。

もうお分かり頂けたかと思いますが、負荷はちょっとずつ増やさないといけないのです。

この考え方は漸進的過負荷とも言われます。

負荷をちょっとずつ増やすということの、「ちょっと」はとても抽象的な表現をしますが、「ホンマにちょっと」です。

醤油を一滴垂らすぐらいに「ホンマにちょっと」です。

これをドバドバッと醤油を掛けるように負荷を増やしてしまうと、料理の味が激変してしまうのです。

分からないぐらいに薬を盛るという感覚でもいいかもしれません(やってはいけませんよ)。

漸進的過負荷であるからこそ、反復性の原則にも則ることができるのです。


負荷の種類は多様

過負荷の原則と聞くと、最初に説明した通り重量という負荷を思い浮かべがちですが、トレーニングにおける負荷というのは何も重量だけではありません。

動かすスピードだったり、動きの難度だったり、動いている時間の長さだったり、或いはジャンプするのかしないのかとか、歩くのかジョグなのかスプリントなのかとか、重量物だったとしてもバーベルなのかダンベルなのかケーブルなのか砂袋なのか、或いは自分の体重なのか……こう考えていくと話はどんどん膨らんでいきますね。

過負荷の原則と聞いて短絡的に「重量アップしよう!」とだけ考えるのでは、あまりいい指導は出来ないはずです。

もちろん先ほど述べたような、ベンチプレスの最大挙上重量を高めるというのが目的であれば最終的にベンチプレスという種目に帰結するはずなのでそれでよいのですが、トレーニングの目的がそもそも何なのかというところも考えた上で、どんな手法で負荷を掛けていくのかをじっくり考えて指導に当たれるようになりましょう。

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