箱根駅伝感想「ヴィンセント軍曹」
箱根駅伝の感想。
まずどうしてこうした結果になっちゃったかを考えてみると、今年は凄く難しい天候だったからというのが一つ。
また、序盤からけん制しあう展開になって、ミスが生まれてしまったということが一つ。本来ならば、青学や東海は速いテンポのレースに持ち込みたかったはずだが、あまりにもスローテンポになりすぎて本来の力を発揮するのが難しかったのではないか。
ただ、まさかまさかの大逆転で駒澤が優勝を手にするとは。そこも含めて面白かったので各校感想。
1位駒澤大学
正直9区で3分差を付けられたときは、絶望的な数字と見たほうが良かったかもしれない。ただ、その不利な状況にもめげずに良く戦ったと思う。とはいえ、復路をミスなくつないだのは言うまでもないこと。特に6,8,10区の3年生軍団が意地を見せてくれた。
見事な追い抜きだったことは言うまでもない。石川くんをはじめとして「谷間の世代」が優勝を引き寄せた。おめでとうございます。
【チーム内MVP】石川拓慎
去年も走った10区で見事区間賞獲得。文句なしで出色の活躍と言えるだろう。もちろん反撃ムードを作ったのは田澤くんであり、唯一の4年生小林くんであり、5区を走った1年生ルーキーの鈴木くんだった。明らかに創価大学の選手がペースダウンしていたのもあるが、それを考えても最後まであきらめなかった石川くんがMVPと賞されることは自然な事だろう。
2位創価大学
悔しい、悔しすぎる2位だろう。ただ、出場4回目で往路優勝と総合成績2位は称賛に値するレースだったことは言うまでもない。難しいレース展開と気候の中で、9区までミスをすることなくしっかりと襷をつないでいたのは間違いなく創価大学だった。今大会の主役だったのは間違いなく創価大学。悔しいとは思うが、それを次にどうか生かしてくれることを願います。
【チーム内MVP】嶋津雄大
難病を抱えながらもチームに戻ってきた精神的支柱。東海大学から首位を奪うやそのままリードを広げていった様は、まさしく今大会大躍進の象徴。まさか、を引き寄せた走りは今後を大きく引き寄せるきっかけとなるかもしれない。
3位東洋大学
転んでもただでは起きないことを証明して見せた。去年10位とまさかの順位だったが、たった1年で3位以内に戻ってきたのは酒井駅伝監督の手腕が素晴らしいとしか言いようがない。チーム一丸となって戦い抜いた結果だろう。復路はややペースダウンしたが、それを差し引いても序盤から攻めの走りをしていたことは言うまでもない。
【チーム内MVP】松山和希
服部・相澤の系譜を継ぐ男が現れた。前評判は大変に高かったが、それでも岸本くんが昨年打ち立てた2区1年生記録をあっさりと破ったことには驚かされた。チームの流れを決める柱が生まれ、次はエース候補の一角ともうわさされる石田くんの入学も噂される。ますます強くなるだろう。
4位青山学院大学
いや、あんたらの不屈の闘志はどこから湧き上がってくるのかと。往路は12位に沈むも、復路優勝と圧巻のレース運びでシードどころか3位まであと一歩というところまで食い込む。これを考えると、青学をとにかく往路はおとなしくさせるというのが正しい対策なのかと。それにしても、神林くんが出走できなかったのはちょっとだけ残念だった。
【チーム内MVP】近藤幸太郎
6区の流れを7区で完全なものとした復路優勝の立役者。彼の好走が岩見くんや飯田くんたちの好走を引き出したと言ってもいい。開き直った青学がどれだけ強いかというのを思い知らしめたが、思い切りのいい走りで来年は裏返しの4区に期待!?
5位東海大学
優勝を狙ったが、まさかの失速でその後も上がることができなかった。すごく当人たちにとっても悔しいレースとなっただろう。一つのミスも許されないという駅伝の中で、ここまでしんどい思いをするとは思わなかったはず。とはいっても、例年と同等かそれ以上にいいチームだったことは間違いない。これで一旦チームは再構築に入ることになるだろうが、悲観することもないかと。
【チーム内MVP】石原翔太郎
全日本でも大活躍したスーパールーキーが箱根でも大躍進。チームの流れを一変させて、1位にまで押し上げた走りは称賛に値する。1年生にしてゲームチェンジャーとしての活躍は見事だったが、できるならば、その勢いを持続したかった。
6位早稲田大学
あれ、そんなに順位高かったか?と思ったが、8・9・10区で巻き返したのね。太田・中谷のダブルエースが共倒れに終わって、相当厳しい展開となったがやはり地力のある所を見せつけて何とかシードに。懸案の山、エースの不調と大会前から懸案事項として挙がっていた課題が部分でやられてしまった。
【チーム内MVP】千明龍之佑
7区の宍倉くんと迷ったが、流れを受け継いだ千明くんが何よりも大きいだろう。主将として故障もあった中で8区では区間5位と大健闘。
7位順天堂大学
1区三浦くんは思っていた以上ではなかったが、その穴をチームでしっかりと補って駅伝ができていた印象。特に復路は抜群の安定感で大崩れすることもないままシード権を獲得した。選手起用もしっかりとハマった印象で、特に6区で勢いづいたこともまた、追い風となったか。
【チーム内MVP】清水颯大
6区区間2位でチームに勢いをつけた立役者。その勢いをレース終盤まで保ち続けたことが、順天堂大学のシード獲得に大きく貢献したと言っても良い。
8位帝京大学
往路では4位だったが、復路では大苦戦。それでもシードを獲得できたことは称賛に値する。これで連続シード保持記録を更新したわけだが、育成の帝京の賜物ともいえるだろう。ただし、絶対的な優勝候補と呼ぶためにはもう一つ「何か」が欲しいと感じるのも事実だ。あと、中野監督はかわいい。
【チーム内MVP】細谷翔馬
遠藤くんが3区で作った流れをさらに加速させた5区区間賞受賞者。後ろからひたひたと追い詰めて、駒澤大学にもあと10秒差というところまで追い詰めたのも彼の好走があったからこそ。結果、彼の貯金を活かしてシードを確保できたのも間違いはない。あと、中野監督はかわいい。
9位國學院大學
「育成の年」と位置付けるのであれば、十分に9位という結果は満足できるものだろう。ただ、序盤から厳しいレースとなったことは言うまでもなく、9位という位置も5区での早稲田の失速が相まってといういうなればラッキーが重なったとも言える。ただ、復路は6位と健闘したことはプラスになるはずだ。昨年こそ3位だったが、復路は10位だったことを考えると、着実に強くなっている。
【チーム内MVP】島﨑慎愛
復路のスターターとして、十分すぎる働きを見せてくれた。この勢いを最後まで持続して、國學院はシードを獲得できたと言っても過言ではない。アンカーの木付くんも良い走りをしてくれたが、そのきっかけを作り出したのは間違いなく島﨑くんだろう。
10位東京国際大学
ヴィンセントくんのおかげ、と言ってもいいだろう。そのおかげでどの選手も失敗を恐れることなく走り切ることが出来たのではないか。来年はヴィンセントくんは4区を希望しているようだが、そのためには2区に安心して走ることができるエースを置くことができるかにかかっている。そこはどう育成するか。
【チーム内MVP】イェゴン・ヴィンセント(金栗四三杯)
足のケガ明けという状況の中で、2区区間新記録樹立は率直に言って驚きでしかない。マジかよ、ヴィンちゃん。もう君世界レベルやで。明日退部して、世界を目指すと言っても驚かない。八村塁くんが高校時代にプレーしているのを生で見ていたレベルの選手。金栗四三杯受賞おめでとう!
11位明治大学
まさかまさかのシード落ちだった。自分は上位に来る、優勝争いに食い込むと予想していたのだが、序盤から波に乗れず復路では7位と巻き返すもシード落ちという結果に。序盤に流れを変える存在がいなかったことが痛恨だが、幸いなことに選手は揃っているので予選会は突破してくるでしょう。
【チーム内MVP】大保海士
4年生が意地の走りを見せて区間賞を獲得。なかなか波に乗れないチームの中で意地を見せてくれた。今大会をもって競技人生から引退を決意している4年生ランナー。全日本でも良い走りをしていたし、ちょっとだけ残念だけれど次のステージでも頑張ってね。
12位中央大学
往路18位ととにかく波に乗れずに苦しんだ今大会は、復路成績3位と意地を見せたことは驚嘆に値する。結果として12位ではあったが、藤原監督の下でしっかりとチームが強くなっていることが窺える。明治大学同様、序盤に流れを変えられる選手が居なかったことは痛恨だった。
【チーム内MVP】若林陽大
6区区間5位タイと好成績を残した2年生ランナー。復路3位のきっかけを作り出したことは言うまでもない。山下りの経験はこれで2度目ということもあるが、できる限り彼の好走を活かしてあげたかった。あと、これはどの学校もそうなんだけれど「スーパー1年生」に頼りきりのチームは今一つ波に乗れなかった印象があった。
13位神奈川大学
全く、誰だよ。復路の神奈川は強いとか言っていた奴は(ごめんなさい)。ただ、往路ができすぎだったのかそれとも復路でアクシデントでもあったのか。勢いだけのチームだったからというのもあるけれど、大後監督もどうやら大会後は一定の手ごたえがあった様子。
【チーム内MVP】井手孝一
今回で引退となる4年生ランナー。2区では区間9位と特筆すべき数字ではないが、序盤で流れに乗ることができたのは神奈川大学にとっては大きかった。とはいっても、まさか2区で起用されるとはね。タフで我慢強い選手だっただけに、一度でいいからシードを取らせてあげたかった。お疲れ様でした。
14位日本体育大学
日体大も序盤で話題をさらってそのままフェードアウトしていってしまった。玉城監督の就任が2020年7月からだったということもあり、いかんせんチームを完全に作り上げるまでには時間が足りなかったか。近年伝統校の低迷でありがちなのが監督を矢鱈と変える傾向にあるということ。日体大の場合は事情が事情だっただけに致し方ないが、そろそろ腰を落ち着けて再建したい。
【チーム内MVP】池田耀平
2区区間3位、日本人選手の中でトップという成績は見事。序盤で日体大を大きく引き上げる要因となった。来年以降は実業団で活動することになるが、日体大の選手としての意地を見せた。
15位拓殖大学
実力差がそのまま出てしまった大会となった。ラジニくんがなんとか意地を見せるも、それ以外では5区の石川くん以外振るわず。結果としてチームとしても大不振に陥ってしまった。留学生というプラスアルファは駅伝にとって大変重要な要素ではあるのだけれど、山下監督もそういう点ではまだまだ苦労をしているのだろう。個人的に拓殖の駅伝は好きです。
【チーム内MVP】石川佳樹
往路10位フィニッシュを達成できたのは5区で石川くんが頑張ったからに他ならない。区間5位の好走で、チームに流れを与えることができればより良かったが……。
16位城西大学
レースプランは壊滅的だった、というべきだろうか。本来ならば1・2・3区は区間1桁前半で走っておきたかった、最低でも区間7位前後をキープできればというのが算段だったのかもしれないが、奏功することなく復路でずるずると行ってしまったか。ただ、意外性あるチームなのは間違いなく、来年も期待。
【チーム内MVP】山本唯翔
1年生初の箱根で5区を任されて区間6位と大健闘。反撃ののろしを上げることは出来た。3本柱のうち2本が卒業する今大会で、より良い位置で走ることができればシードも夢ではなかったと思うと悔いが残ることは事実。
17位法政大学
厳しい結果を突き付けられたと言うべきだろうか。1区で1位となったもののその勢いを保つことが出来ずにそれ以降は低迷した。先行逃げ切りという形を取ろうにも、良い選手は上位の学校に持っていかれてしまうんだろうけれど。とにかくチームもこれで再建の段階。思い切ってみんなで髪の毛をオレンジに(以下徳本
【チーム内MVP】鎌田航生
昨年2区を走っていたチームのエースが今回は1区で区間賞を獲得。できるならこの1位という位置を保つことは難しくても上位をキープしたかったはず。スローペースとなった1区で抜け出したレース勘と根性を武器に、来年はさらにレベルアップしてほしいと思った。
18位国士舘大学
タスキはつながったが、厳しいことを言えばヴィンセントくんだけの駅伝で終わってしまった。本気でシードを狙っていただけに、とても悔しい結果に終わったのではないだろうか。区間1桁もヴィンセントくんを除けば1人だけしかいないというのも厳しい。きっかけが欲しいところ。
【チーム内MVP】ライモイ・ヴィンセント
厳しいチーム内で区間2位と健闘。意地を見せた。そう言えば青学で竹石くんの5年生を批判している人が居たけれど、ヴィンセントくん24歳なんだよね。そこに突っ込む人っているのかな?というどうでも良いことを思った。
19位山梨学院大学
厳しい戦いになるだろうとは思っていたが、まさか繰り上げスタートとなる19位にまで沈むとは思っていなかった。とはいえ、予選会で好成績を残した選手たちが揃って出場しなかったという情報もあり、何やらきな臭いものでいっぱいになっている。そう言う時点で最初から戦えるチームではなかったのだろう。
【チーム内MVP】ポール・オニエゴ
4区区間賞で唯一気を吐いた。ただ、チームとして戦う以前の問題だったので正直オニエゴくんだけでも限界ではあったと思う。
OP参加関東学生連合
順位こそ20位相当だが、区間だけで見ると大健闘した選手たちが多くいた。1区を走った麗澤大学の難波くんは区間10位相当、10区を走った芝浦工業大学の松川くんは区間6位相当と大健闘。特に復路だけで言うならば順位は11位相当だった。チーム結成から短い間でよく頑張ったと思う。
【チーム内MVP】松川雅虎(芝浦工業大学)
最終区間・母校のたすきではないというのもありながら、区間6位相当での好走は特筆に値する。ただ、難点なのは下の名前。これで「みやと」とは読めんわ。とはいえ、これが最初で最後の箱根にならないようにまた、チームで頑張ってほしいところ。
20位専修大学
正直何を語ろうと思っていても、最初から最後まで20位ではコメントのしようがないというのが個人的な感想。別に選手も監督も慢心していたわけではないだろうし、最善を尽くして努力はしていたと思う。端的に言えば実力不足と言ってもいいだろうか。ただ、4月から留学生ランナーが入学してくるしチームとしての強化は引き続き進んでいくだろう。来年に期待。
【チーム内MVP】現時点では上げられず
これが「記念受験」になるかならないかは来年以降の頑張りがモノを言います。頑張ってください。
いやー、全部書き切った。まあ、コロナの問題とかいろいろあったけれど、それでも開催できたことは喜びでしかない。選手や関係者の方々にとってもね。
来年以降も戦国駅伝になることに変わりはなく、今回の創価のように予想外の大躍進を遂げる大学があるかもしれないので、みんな要チェックやでしかし!
ということで、noteにも小説やら駅伝やらを書いていけるように頑張ります。やっと年を越した気分(笑)