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意外と留学生の影響力が無くなって来てませんか?
はい。という事で今回書いていこうと思うのは「留学生」問題についてだ。今ではどこでも留学生を起用している。駅伝、バスケット、相撲、野球もそうだし、これらの走りはサッカーだった。
関東インカレなどではこうした留学生たちが猛威を振るい、箱根駅伝予選会でも1位だったのは日大のシャドラック・キップケメイくんだったことは記憶に新しい。
しかしだ。なぜだか「箱根駅伝」に関して言うとここ数年の成績では留学生の成績はあまりいいとは言えない。今回はそこら辺の数字を見ながら、その理由などを考えていきたいと思う。
データで見る留学生の成績
97回大会までの留学生を見てみると、97回と98回の留学生は2区でも区間上位を占めていることが分かる。名前と実力のあるランナーたちがここには揃っていることも含めて、留学生の脅威というのが改めてわかる。
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しかし、98回大会から見て行くとブヌカくん2区区間19位、キサイサくん3区20位を皮切りに留学生が区間上位はおろか区間1桁でも後半、ひどい場合には区間下位のタイムで走っているケースもみられるようになってきた。
今回の箱根駅伝でもエティーリくんとムチーニくんは額面通りと言ってもいい走りを見せてくれたが、箱根駅伝予選会で圧倒的な力を見せつけたマイナくんとキップケメイくんがあまり芳しい結果を残しているとはいいがたい形となってしまっている。
これらについて考えられるのは2つの理由だ。それはポジティブな理由とネガティブな理由。まずそこから深く考えていくこととしよう。
日本人ランナーの急激的な成長
今回2区が「史上最高の2区」と呼ばれたが、日本人ランナーの成長が極めて著しいことがここからも分かる。97回大会以降の区間上位で見てみると日本人ランナーのトップレベルにいるランナーは留学生たちとしっかりと戦い勝利を収めている。
98回大会から100回大会では本来であればチートレベルであるはずの留学生選手を抑えて、日本人選手が区間賞を獲得していることからもそれは明らか。今回の101回大会でも吉田響くんと黒田朝日くんは1時間05分台、区間10位タイとなるキムタイくんとムトゥクくんまでが1時間06分台となるハイレベルなレースとなった。
これが98回大会だと1時間07分でも区間5位には入る快走なのである。当然気象条件などの変化も大きな要因になっていることは否めないが、それを差し引いても驚異的なこのタイムは驚嘆に値するもの。
しかも区間賞のエティーリくんから10位タイのキムタイくんとムトゥクくん以外はすべて日本人だ。当然トラックのタイムも素晴らしいものを持っている選手たちばかりではあるし、ここから見ても日本人選手のレベルアップは相当なものとなっていることが言えるだろう。
その一方で、もう1つ大きな理由として考えられているのが「強い留学生を獲得できなくなっている」という点だ。競争相手となっているのは何を隠そうあのNCAAなのである。
日本よりアメリカに行くケニア人が増加
1990年代までは主にケニア・ナイロビ在住の日本人、通称・ケニヤッタ小林さんが入学を斡旋する形を取り、現在では元選手が知り合いの選手を日本のチームに紹介したり、ケニアに短期滞在して独自ルートで勧誘するチームも出てきている。
ケニア現地にエージェント会社を設立して、国内マラソン大会へのコーディネーションや日本人選手の海外合宿のコーディネートを担当している人もいる。そんな彼らによって若年層の選手たちを集めて強化し、日本へと送り出すシステムが出来上がった結果、ヴィンセント選手のようなすごい留学生たちが今も日本にやってきている。
その一方で、コロナ以後アメリカの大学の規制緩和などにより徐々に留学生がアメリカへと流れて行く傾向にある。
考えられる理由としては、アメリカではスポーツにおける奨学金制度が充実していること英語圏であること。アメリカの大学を卒業して仮にケニアなどに帰ったとしてもキャリアとして箔が付き、安定した生活を送れる可能性が増すこと……。こういったことが挙げられるが、何よりも大学にとっても名前を売る絶好の機会となるわけだ。
日本の箱根駅伝のように人気のあるクロスカントリー選手権では7人が出走するが、そのうち5人がケニア人なんてチームもあると言われるほどで留学生の制限が厳しい日本と比べて名前を売る機会にも恵まれている。
つまり、今後エティーリくんやムチーニくんのようないい選手がアメリカへと入学するケースがどんどんと増え、逆に留学生を起用するという特大なメリットがなくなる可能性というのも出てくるという事は十分に考えられることなのだ。
留学生も「育てる」時代に
資金などの問題でどうしても優秀な選手を取ることができなくなりつつある現在においても、留学生は不要か?と言われれば言うまでもなく私は「必要」な存在であると思える。
何よりも区間順位という形でこうした結果になったとはいえ、どの選手たちも決して力がないわけではない。先ほども話したようにムトゥクくんもキップケメイくんもマイナくんも箱根駅伝予選会ではチームを大きく引っ張る良い走りを見せたし、キムタイくんも区間順位を着実に上げてきているなど成長がみられる。
かつて山梨学院大学にいたオニエゴ選手は来日した当初、日本の高校県大会レベルの力しかなかったが、地道な努力を重ねてエースにまで上り詰めた。キップケメイくんもマイナくんも、この失敗をばねにしてさらに飛躍的な成長を遂げることがあっても決して不思議ではない。
何よりもそうした「競争相手」がいることによって日本人選手たちにも大きな刺激になりうるのだから。当て馬という意味ではないけれど。
良い選手を入学させられないからこそ、良い選手に「育てる」。そんな方針に切り替えるというのが、もしかすると今後の日本の大学駅伝では求められていくのかもしれない。