第35回出雲駅伝(8)「創価大学」
着々と強豪校への階段を上りつつある創価大学。これまで榎木和貴監督のチームとしての強化方針はどちらかというと「駅伝」を戦うための強さを追い求めていた節がある。
しかしその一方、いささか選手層という点では一抹の不安があったことは事実。それをも解消しつつある創価大学にはフレッシュなルーキーが春から夏にかけて活躍を見せている。
安定感あるチーム
三大駅伝の総合優勝の経験こそがないが、現状安定感のあるチームになってきている。榎木和貴監督の手腕もさることながら、その一方でその一端を担っていたのがスーパーヒーローであり最も強いランナーであった嶋津雄大選手の存在が大きかった。
今シーズンは卒業をしてしまった彼という存在をどのように埋めるのか興味深かったが、さっそくフレッシュなルーキーが躍動。特筆すべきは1年生の織橋巧くん。5000メートルの自己ベスト更新を連発し、またそれに触発されるように齊藤大空くんも自己ベストを先日更新。
関東インカレでも躍動を見せ、3年生の吉田凌くんがハーフマラソンで3位入賞と活躍を見せ、3000メートル障害でも入賞者を出した。夏はこの勢いそのままにどこまで行くことができるか、注目だ。
キープレイヤー
正直、彼をどういう風に取り上げればいいのかは今でも迷っている。この問題というのは賛否両論分かれるものだと思うし、こういう選択をした以上は彼が正解だということを証明しなければならない。
率直に言う。茨の道だと思うがもう一つ思う。彼から走るという選択肢を取り上げることは大人がしてはいけないということだ。
吉田響
率直に言えば前代未聞ではあると思う。これまでも梶原有高さんの例こそあれど、経験者が転校してその転入先で競技および箱根駅伝出走というのは極めて珍しい。
しかし、おそらく彼自身も環境を変えない事には走るという選択さえも取ることができずそのままつぶれていた可能性は大いにある。それだけに東海大学および創価大学の関係者の方には敬意を表したい。
当然、実力はとびぬけて素晴らしい。あとはそうしたものを競技にぶつけ、結果で周囲を黙らせる時。彼の雄姿が歓声の中で喝采を浴びる時を楽しみにしたい。
監督
榎木和貴
中央大学時代は4年連続区間賞を獲得、中央大学が最後に総合優勝を達成したさいのメンバーとしても記憶に新しい。
2019年に創価大学の監督として就任すると、たった1年で創価大学初となる箱根駅伝の10位以内のシードを獲得し、前回大会では2位。
その後も4年連続シード権獲得、前回大会では全日本大学駅伝初出場にしてシード権を獲得し、一躍駅伝強豪校の仲間入りを果たすまでになった。
温和でまじめな人柄から選手たちの信頼も厚く、また他大学の監督からの評価も高い。
濱野くんwww