【箱根駅伝】2区の特徴と区間記録【鍵はスピード】
箱根駅伝コース紹介、今回は2区。花の2区と呼ばれ、エース区間としても知られるコースである一方、このコースはレースの趨勢そのものを決める区間とは言えません。しかし、どの区間も決して捨ておくことができない箱根駅伝の特性上、また難コースである以上実力者が多く集まる区間であることに変わりありません。
今回はこの区間を紹介していきましょう。
コースの特徴
鶴見中継所から戸塚中継所までの23.1kmと往路最長。
鶴見中継所から横浜駅前を経由して保土ケ谷駅までは標高差がほぼゼロの平坦なコースであるが、そこから東海道五十三次で箱根越えに次ぐ難所といわれた「権太坂」と、戸塚中継所手前3km地点からの2つのアップダウンと、ラスト1kmの通称「戸塚の壁」と呼ばれる急な登り坂がある。これら後半の難所をいかに攻略するかが最大のポイントとなる。
鶴見中継所までは差が付かないことが多く、激しい順位変動が起こる区間でもある。エースの結果いかんで後の流れが決まってくるともいわれ、特に後半難所の区間での快走が駅伝での流れを大きく決めることとなる。
日本を代表するランナーが多く出てきており、ランニングデートで有名な相澤晃・伊藤達彦両選手や、田澤廉選手、塩尻和也選手といった日本を代表する選手が多く走ってきた。
マラソン日本記録保持者である鈴木健吾選手も神奈川大学在学中に区間賞を獲得している。
重要ポイント
2区で重要なのは、何よりもランナーとしての総合力の高さだろう。名だたるエースが列挙する2区では言うまでもなくチームナンバー1のランナーを区間に配置して後れを取らないように対策することが肝要と言える。
そのため、スタミナとタフさが極めて重要となる。当然その走りの適正的に上りが向いているのか…ということも挙げられる。そう考えると2区の攻略法はこうだ。
①序盤はある程度速く入る
②必要以上に上げすぎずにリズムを維持
③終盤は気合
といったプランを組む必要がある。
しかし、私が考えるに最も重要なポイントは何かと訊かれると「スピード」だと思うのだ。
それは最初からマックスのスピードではなく、8割の力で余裕をもってしかし余裕を持ちすぎることのないころ合いのペースで前半のリズムを刻む。
そして後半の難所と呼ばれる権太坂やラスト3kmの急こう配、そして1kmで待つ壁のような坂……。こういった物は単純にスタミナだけではなく、強く足を蹴って進むのキック力も重要となる。つまるところ、序盤からある程度の余裕を持ったペースで臨むにはそれなりのスピードランナーでないと厳しいということだろう。
区間記録保持者
イエゴン・ヴィンセント
1年次3区で前人未到の1時間切りを果たした最強留学生・ヴィンちゃんが満を持して2区に登場。15番手で襷を受けるとスイスイと走っていき、先頭に立つだけではなく前年に打ち立てられた1時間05分57秒という区間記録を見事に打ち破り1時間05分49秒という驚異的な数字を叩き出して区間賞・金栗四三賞を獲得した。
チームも流れに乗り、10位と辛うじてシード権をキープ。その衝撃的な走りに他大学の運営管理車に乗った監督さんたちはただただ感嘆の声を上げるしかなかった。
相澤晃
その前年「ランニングデート」と世間で話題となった相澤晃選手は日本人、また箱根駅伝史上で初めて2区を1時間05分で走ったランナーとして知られる。
持って生まれたスピードはもちろんのこと、タフな精神力と身体の強さから生み出されるパワフルな走りで多くのファンを引き寄せる力があった。
最終学年となった96回大会では、14位でタスキを受けると東京国際大学の2区を任された伊藤達彦選手とともに激しいつばぜり合いを演じて順位を大きく上げた。その走りと区間記録更新から相澤選手は金栗四三賞を受賞。
卒業後は旭化成に就職し、10000メートル走日本記録樹立と東京オリンピック出場と順調にキャリアを積んでいる。なお、ニューイヤー駅伝や日本選手権などで伊藤選手と対峙することも多く、こちらもまた良いライバル関係として今後も語り継がれていくだろう。